西武が逆転負けで8連敗となり、黒星は5月にして「30」に達した。
シーズンは残り100試合ある。希望がほしい。滝沢夏央内野手(20)が期待に応えた。1番スタメンに抜てきされ、初回にいきなり右中間二塁打。中村の犠飛で生還した。
たまに1ミリの誤差はあるものの、身長計に乗ると基本的には164・0センチになる。現在の球界最小兵が、どん底のチームを引っ張ろうと奮闘した。試合後には「自分が流れを変えられるような選手になりたいと準備していました」と頼もしく話した。
二塁に頭から飛び込み、白いユニホームがいきなり泥だらけになった。女性ファンから「かわいい」と言われる存在ながら「スピードを使った泥くさいプレーを見てほしいっす」と男くさくアピールしてきた。
実家の近所にある関根学園(新潟)時代に西武スカウトに見初められ、育成入団。1年目から支配下登録の縁にも恵まれた。犠打で進めてくれた2番源田、本塁に生還させてくれた中村剛とは、23年1月に自主トレをともにした。
その自主トレの滝沢のマシン打撃中、師匠の源田らがスピーカーで高らかに響かせていたのはなんと、滝沢の高校時代の新潟ローカル放送での特集番組の動画。「勘弁してくださいよ~」といじられながらも自分のあどげない話しっぷりをBGMに打ち続け、将来のレギュラー獲得のために励んできた。
20歳になって「周りが見える大人になりたい」と日々でっかくなる。5月にして自力優勝の可能性が消滅し、30個も積み重なった黒星でトンネルの出口さえなかなか見えない。だからこそ、ここまで出番の少なかった若者の一打は価値が大きい。この調子のままチームを救う“夏男”になりたい。【金子真仁】



