真夏の悪夢だ。阪神が宿敵からショッキングな敗戦を喫した。0-0で迎えた4回に先発及川雅貴投手(23)が巨人浅野翔吾外野手(19)に満塁本塁打を浴びた。怒りの岡田彰布監督(66)は5回からバッテリーごと交代させた。勝負の9連戦は3勝6敗で悪夢の3カード連続の負け越し。首位広島がDeNAにサヨナラ勝ちしたことで自力Vも一夜にして再び消滅した。広島とは今季最大タイの4ゲーム差。正念場を迎えた。
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9回2死一塁、大山が二ゴロに打ち取られてゲームセット。その瞬間、岡田監督はすぐにベンチを後にし、1人で裏の通路へと引き揚げた。急いで両側を囲む報道陣へ、囲み取材に応じず歩きながら一言。「コーチに聞いてくれ」。そのまま何も言わずに、帰路についた。
一瞬で巨人のムードに持って行かれた。0-0のまま迎えた4回、先発の及川は坂本、岡本和の主軸を打ち取り2死。続く大城へも変化球でカウント0-2。この優勢から4連続ボールで四球を出すと、風向きが変わった。モンテスに左翼フェンス直撃の二塁打を許し、門脇にも四球を与えて2死満塁。相手の勢いのままに、浅野に今季1号となるグランドスラムを浴びた。
高卒2年目の若きスラッガーとは、浅からぬ縁がある。22年ドラフト1位で巨人に入団した浅野を、阪神も1位指名し一騎打ち。くじ引き役の岡田監督が引く前に、当たりくじは原辰徳元監督(66)の手に渡った。指揮官は外れ1位で森下を獲得した直後に「どっちが先に使えるかと言うたら、森下かも分からんしな」と話し、大卒ルーキーはその期待通りに活躍。しかし、この日は元虎の恋人に苦汁をなめさせられた。
4回4失点の及川、女房役の梅野もともに、岡田監督は5回でバッテリーごと交代を告げた。代わって長坂がマスクをかぶり、8回には長坂へ代打渡辺が送られたため、栄枝が途中出場。今季初めてベンチ入りした捕手3人全員を使ったが、執念の勝利には結びつかなかった。試合後、梅野も無言で球場を後にした。
今季の東京ドーム最終戦で黒星を喫した直後、首位広島は菊池の3ランでサヨナラ勝ち。正反対のような試合展開で、阪神は一夜にして再び自力優勝の可能性が消滅した。ゲーム差も最大タイの4に再び広がってしまった。3カード連続の負け越しで、今季初の9連戦は3勝6敗。負けられない長期ロードはまだ続く。負の連鎖をここで断ち切りたい。【磯綾乃】
◆岡田監督の22年ドラフト 阪神監督に復帰したばかりの岡田監督は22年10月20日に、ドラフト会議に臨んだ。浅野翔吾外野手(高松商)への入札は、巨人と一騎打ちの形で競合。オリックス監督時代も含め1回目入札抽選では過去5度すべてで外した左手をやめ、右手でくじを取ったが、先に引いていた巨人の原監督に浅野を引き当てられた。「周りに聞くと(星占いなどは)よかったらしいけど、駄目やったね」と苦笑。それでも外れ1位で右の強打者、森下翔太外野手(中大)の獲得に成功し「絶対戦力になるわな」と喜んだ。
▼阪神が相手打者に満塁本塁打を許したのは、23年9月21日巨人戦で大城卓に青柳が打たれて以来。なお阪神が満塁本塁打による失点だけで完封負けしたのは、2リーグ分立後3度目。前回は22年8月24日に、DeNAの桑原に伊藤将が打たれた。巨人戦では2度目で、73年9月20日に王貞治に古沢憲司が喫して以来、51年ぶりだ。
▼阪神がドラフト最上位で入札しながら、抽選で逃した選手に満塁本塁打を打たれたのは、今回の浅野で4人目。97年8月20日に松井秀喜(巨人=92年ドラフト)、19年4月13日に堂上直倫(中日=06年高校生ドラフト)、22年4月3日に中田翔(巨人=07年高校生ドラフトで日本ハム入り)以来。



