阪神佐藤輝明内野手(26)が本塁打争いで単独トップに立つ8号3ランで、今季初の5連勝&17日ぶりの首位奪回を導いた。1点リードの3回、並んでいた巨人岡本の前で赤星からバックスクリーン左に運び、完全な阪神ペースに持ち込んだ。開幕からの巨人戦4戦4勝は68年ぶりの快挙。この日は球団創設90周年企画の第1回「タイガース レジェンズデー」として開催され、歴代OBも闘志を燃やした伝統の一戦で背番号8が猛虎魂継承を体現した。
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佐藤輝の一振りは、40年前の“あの1発”をほうふつとさせる放物線だった。「力まずに軽く」と振り抜いたスイング。打球は中堅後方へ高く上がった。バックスクリーンやや左へ飛び込むと、今季最多4万2628人の観衆のボルテージは最高潮に達した。
「(村上に)早めにいっぱい点を取ってあげたかったので、最高の形になった。今日は風も助けてくれてよかったと思います」
1点リードの3回1死一、二塁。2ボールから、赤星の低めの136キロフォークを完璧に合わせた3ランで4-0とし、完全に阪神ペースに持ち込んだ。この日は球団創設90周年企画の第1回「タイガース レジェンズデー」として開催され、掛布雅之氏(69)、田淵幸一氏(78)、江夏豊氏(76)が来場。先人たちの前でかけたアーチは、巨人戦のバックスクリーン3連発で掛布氏が放った打球方向と、ほぼ一致していた。
中堅から左方向への放物線は、昨オフから取り組んできた取り組みの成果だった。左の強打者にとって右翼から左翼方向へ吹く浜風は難敵。掛布氏がそれを逆手に取り、浜風を追い風にできる左中間へのアーチを量産したように、佐藤輝も今季は甲子園での3発すべてが中堅から左方向へのアーチ。確かな手応えもかみしめる。
「やってきたので、ずっとオフから。自然にそっちに打てるようにと。今はできているかなと思います」
並んでいた巨人岡本の目の前でリーグ単独トップの8号。21打点も、この日1打点の岡本に並んで2冠だ。初の打撃タイトル獲得を狙う今季。本人は「まだ先は長いので」と無心を強調したが、試合前には田淵氏から太鼓判をもらっていた。
「私は(足を)骨折して『ミスッたタイガース』になっちゃったけどな。今年の佐藤はひと味違うよ。岡本とタイトル争いすると思う。『ここで頼むよ』というところで打つのがミスタータイガースの条件。掛布の後を継いでくれるかな」
伝え聞いた佐藤輝も「僕は(結果を)出すだけなので」と表情を引き締めた。レジェンドたちも認める「虎の顔」となりつつある。
試合前には、18日に90歳で亡くなった歴代3位の320勝投手で、OBの小山正明さんを悼んで黙とう。半旗が掲げられる中、佐藤輝も喪章をつけて戦い、今季初の5連勝、17日ぶりに首位も奪還した。先人たちも闘志を燃やした伝統の一戦で、4番が最高の結果で応えた。【波部俊之介】
▼阪神が巨人戦で開幕から4連勝以上は03年の5連勝以来、22年ぶり。03年は1回戦が引き分けで、引き分けなしの開幕から4戦4勝以上は、1リーグ時代の37年秋7戦7勝と48年5戦5勝、2リーグ制後の57年4戦4勝に次いで68年ぶり4度目だ。この4試合の阪神はすべて先制し、まだ巨人にリードを許していない。1度もリードを許さないで巨人戦に開幕4連勝は球団史上初めてになる。
▽阪神中野(初回に先制点につながる右前打を放ち、二塁守備でも好守)「積極的に振りながらボールを見極めて、という打席が一番いいと思うので、どんどんタイミング合わせて振れる準備をしたい」



