来季の期待の星だ。阪神3年目の茨木秀俊投手(21)が、1軍デビュー戦を2回無安打無失点の快投で飾った。

この日初めて1軍登録され、敵地ヤクルト戦に0-8の6回から3番手で登板。降雨中断をはさんだ難しいマウンドだったが、最速150キロ右腕が“1発快投”で起用に応えた。22年ドラフト4位入団し、同2位の門別啓人投手(21)は同学年の道産子同士。先に1軍で活躍した左腕に負けじと、26年のV2ロードを引っ張る存在を目指す。

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プロ初登板でも、虎の21歳右腕は落ち着いていた。6回裏に巡ってきた茨木のプロ初登板。いきなり味方の失策と四球で無死一、二塁のピンチを背負った。このまま崩れるのか、いや崩れない。速球を主体に岩田を左飛に斬ると山野は捕ゴロ、並木は中飛に仕留めて0封。デビュー戦とは思えない堂々の投球で、東都の虎党にその存在を示した。

「やってやろうという気持ちで東京に来た。強気で攻めることができた」

雨にも動じなかった。回またぎの7回裏は、直前に雨が激しくなって中断。登板直前の6回表にも20分の中断があり、集中力の維持が難しい局面だった。結局7回裏の開始まで38分の中断を経て再登板。「気持ちを切らさず次のイニングのことを考えていた。中断でうまく修正できました」。スキ間時間を味方にする冷静さで、会心の3者凡退だ。2歳下の弟佑太投手(19)がロッテの育成ルーキーとしてプレーを始めた今季。プロの先輩として一足早く、堂々の勇姿を見せた。

藤川監督が就任直後の昨秋キャンプで「ボールは素晴らしい」と評価した最速150キロ右腕。今春キャンプは2年連続で主力中心の宜野座組に招集された。紅白戦初戦で先発するなど期待の船出だったが、終盤に上半身のコンディション不良で離脱してしまった。

「違和感はずっとあった。やめておけばよかった。2年間ファームで投げ続けて手応えもあり、頑張ろうという年だったので残念」

それでも「なったものは仕方ない」と切り替え、地道にリハビリを継続。7月5日に2軍戦で初登板し、投球フォームの改善に重きを置きながら、今回の昇格チャンスをつかんだ。

励みは22年ドラフト同期の同学年、同郷北海道の門別の存在だった。「3年間一緒にやってきたので比べられて当然。負けないように」。1軍デビューで先を越され、今年4月のプロ初勝利も見た。それでも焦らず、門別に負けない長所は制球力と自負し、フォーム固めに時間をかけた。地道な努力を重ね、ついに同じ1軍舞台で輝いた。

「やっとスタートラインに立てたので、これからだと思います」。試合は1-8の完敗だったが、背番号48の快投は希望の光。V2を目指す来季、門別との切磋琢磨(せっさたくま)も見どころだ。【塚本光】

▽帝京長岡・芝草宇宙監督(高校時代の恩師で、日本ハムなどでプレーしNPB通算46勝)「まずはスタートを切れておめでとう。テレビで見ていました。表情は高校の時と変わらず、茨木らしい雰囲気が見えました。1球1球、『抑えてくれ、頑張れよ』と力が入りました。低めの球が伸びていました。なんとか頑張って一人前になってほしい」

★茨木秀俊(いばらぎ・ひでとし)

◆道産子 2004年(平16)6月8日生まれ、札幌市出身。

◆野球留学 札幌東シニアから高校は元日本ハムの芝草宇宙監督の指導をあおぐため新潟の帝京長岡へ。3年夏の新潟大会決勝で日本文理の田中晴也(現ロッテ)と投手戦を演じたが延長11回サヨナラ負け。甲子園には届かなかった。

◆門別の相棒!? 2年目の昨春はキャンプ1軍発進。当時の岡田監督は「(同期の)門別のキャッチボール相手にしろってな」と抜てき理由? を明かしたが、実力でもアピール。2軍でローテを守り7勝(4敗)をマーク。今季は故障で出遅れたが、8月28日の2軍中日戦で5回1失点、今月7日の広島戦で6回1失点など好投を続け、1軍に招集された。

◆兄弟プロ 弟の佑太投手(19)も帝京長岡で活躍。昨年の育成ドラフトでロッテに2位指名された。

◆サイズなど 183センチ、87キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は500万円。

 

★22年の阪神ドラフト

1位 森下翔太(中央大)

2位 門別啓人(東海大札幌)

3位 井坪陽生(関東第一)

4位 茨木秀俊(帝京長岡)

5位 戸井零士(天理)

6位 富田蓮(三菱自動車岡崎)

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