米大リーグで機械による自動判定、通称「ロボット審判」が始まって約1カ月が経過した。
チャレンジの全体成功率はおおむね54%に収束。守備側の成功率は60%、打者側の成功率は47%となっている。身長168センチのアストロズのホセ・アルテューベ内野手(35)の出塁率が急増したように、人間の審判員との違いも明確になってきた。日本人打者は控えめな選手も多いが、ホワイトソックス村上宗隆内野手(26)は上手に活用している。話題をまとめた。
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やはりメジャー選手の方が、マイナー選手よりも選球眼に優れているようだ。ABS(オートマチック・ボールストライク・システム)と呼ばれる自動判定のチャレンジは昨年、3Aに一足早く、テスト導入されていた。メジャーのチャレンジ成功率はここまで攻守合わせて54%。マイナーは50%だった。
投手と捕手を合算した守備側の成功率は60%だ。内訳をみると、捕手は61%(827回中501回)の成功率だが、投手は43%(35回中15回)にとどまる。このため、公言はしていないが、投手のチャレンジを制限している球団もあるようだ。
捕手ではペレス(ロイヤルズ)コントレラス(ブルワーズ)のWBCベネズエラ代表コンビの成功数が、1、3位で際立つ。同国の主将だったペレスは成功率も79%と著しく高い。日本のファンにおなじみのスミス(ドジャース)は、チャレンジ成功数19がペレスと並ぶ1位。成功率68%も平均以上だ。
打者の成功率は47%にとどまっている。最多10度チャレンジしたサンチェス(ブルワーズ)とカバジェロ(ヤンキース)の成功率は50%。2位のアクーニャ(ブレーブス)は9度だが、成功率は33%しかない。日本人は控えめな選手が多く、4度以上は村上だけ。村上は7度中5度と成功率が71%と高い。「コースや高さから判定が覆る期待値に対する効率」5・1は全選手でトップ。リーグ3位の22四球を選んでいるが、選球眼の良さはABSデータからも裏付けられる。
ABSのストライクゾーンの上下幅は、身長で決まる。キャンプでは午前10時から正午までに計測され、身長が前年の公称から縮む選手が続出した。ストット(フィリーズ)ら6人は3インチ(約7・6センチ)も縮んだ。168センチの低身長アルテューベは、四球率が昨年の8・4%から12・9%と5割以上も急増。出塁率も昨季の3割2分9厘から3割5分8厘と上昇し、恩恵を受けている。チャレンジにも積極的で、リーグ4位タイの8度。成功率も63%と平均より高い。
ABSのストライクゾーンは、人間の審判より、少し小さくなっているようだ。マイナーの実験結果では、人間は上下左右ともに、少しふくらみがあり、逆に四隅は辛い。2年連続サイ・ヤング賞のスクバル(タイガース)は米メディア「ジ・アスレチック」に「ゾーンの上端は本来より低いと思う。本来の姿としてはもう少し上にあるべきだと思う。ただし下端もかなり低い位置にある」と話している。リーグの1試合平均与四球は、3・16から3・69に増加。00年以来の高水準となっている。【斎藤直樹】
○…村上以外の日本人は、ABSチャレンジの回数が控えめな選手が多い。ドジャース大谷は8日のブルージェイズ戦で投手として試合の初球に初めて行った投手となったが、これは実は捕手スミスが要求したもの。「まあボールかなとは思いました」と苦笑いし「基本的にはキャッチャーがチャレンジした方が確率が高いので。僕が確信すればしますけど、ウィル(スミス)を止めることはしない」と話した。
カブス鈴木は、2試合連続本塁打を放った22日のフィリーズ戦で2度目のチャレンジ。「実際問題、際どいところは分からない。自分の(考えるストライク)ゾーンからは外れていたのでやってみたが、仕方ない」。失敗に終わったが、経験を積む意図もあったようだ。
ブルージェイズ岡本は3回挑戦で成功1、失敗2だが、成功はドジャース山本の投球時。見逃し三振を覆し、メジャー初二塁打を放った。



