西武杉山遥希投手(20)が今季初先発で5回2失点も敗戦投手になった。母校の横浜(神奈川)も夏の甲子園準決勝で敗れた。
杉山も「本当にお世話になりました」という同校元監督の渡辺元智さんが17日、亡くなった。母校も杉山も勝って-。野球はそんなに甘くはなかった。
「高校の結果も知ってましたし、僕が勝って、少しでもいい結果を報告できたらと思ったんですけど、それはお預けになってしまったので…」
この夏を戦った3年生は、杉山と入れ替わりで横浜に入学した世代だ。杉山自身は高3夏、神奈川大会決勝で敗れた。慶応戦、最後に逆転された。当時はかなり話題になった「併殺で二塁ベースを踏んだかどうか」の判定も、試合の流れに大きくかかわった。
該当のプレーとその後の逆転負けを、それぞれがそれぞれの立場でかみ砕き続けた。答えが出た人も、なかなか出なかった人も。卒業式後の謝恩会では、東京6大学リーグの大学に進む卒業生が「大学では絶対に慶応に勝ちたい」と誓うひと幕もあった。
その謝恩会の最後、村田浩明監督(40)は杉山たち卒業生をエレベーター前に集めてこう言った。
「これからね、本当にね、オレ、期待してるから。それぞれの道をしっかり歩んで、自信持って行けよ。絶対。何のために横浜高校でやってきたか。とにかく絶対、負けんなよ。いろいろな世界での君たちの活躍を期待してるから。絶対負けんなよ。絶対間違った道に行かないように」
杉山は村田監督の真横で、強烈な熱量とともにそれを受け取った。負けたくない。勝ちたい-。
「周りの方もいつになったらプロ初勝利できるんだって思ってるかもしれないですけど、自分はその何倍も何十倍も…」
杉山はそう、唇をかむ。慶応戦の負けから3年、杉山も同級生も、恩師もここまで来た。
確かな成長は見せた。でもやっぱり勝ちたい。白星がほしい。“横浜にいた杉山”を卒業できるように。“西武の杉山”と万人に認められるように。
ある球団関係者は「もしかしたら杉山にとって、今日の登板はプロ野球人生を左右するかもしれない」と言った。去年に続いて今年も打ち込まれたら…という意味合いだ。でも若者の心は強かった。
「おととし、去年で1試合ずつ。今年も初登板になった中で、緊張している部分もあったので…」
と、しながら。
「でも悔しさもすごくあったので」
練習の取り組みも含め、全てを1軍基準で考えてきたという、この1年間。球速は大きく変わらずとも、杉山は心身ともにタフになって1軍に戻ってきた。そして「次こそは必ず勝てるように」と引き締める。
負けんなよ-。8月20日が新たなスタートになる。【金子真仁】



