<巨人2-0中日>◇22日◇東京ドーム
巨人がリーグ3連覇に王手をかけた。中日戦の6回に亀井義行外野手(27)の24号2ランで先制し、先発ディッキー・ゴンザレス投手(30)の7回2安打無失点の好投で6連勝を飾った。今季、原監督の抜てきに応えてきた2人の活躍で2位中日との3連戦に連勝し、優勝マジックはついに1となった。2リーグ制後、リーグ優勝最多10度のVデーにあたる23日に勝つか引き分ければ、セ・リーグではV9巨人(65~73年)以来のリーグV3で原監督が歓喜の宙を舞う。
会見場から席を立とうとした瞬間、原監督が腕組みをしたまま固まった。「面白い言葉が出てこないんだよ」とうつむいた後、穏やかな視線を報道陣の輪に投げた。「長丁場でここまで来た。『明日勝てば』というところで今までと変わるか、と言ったら、変わらないと僕は思う。険しい道のりを思い、味わいながら戦います」。振り返るのは早い。だが優勝マジックを自力で1とし、少しだけ感傷に浸った。
脳裏に苦楽が巡るのも無理なかった。しのぎあいを制す。この1年を凝縮したような試合で王手をかけた。先発ゴンザレス、チェンの投げ合い。両軍無得点の均衡を破ったのは亀井だった。6回1死一塁、フルカウントから外角低めボールゾーンに急角度で逃げるスライダーだった。亀井は「後ろに谷さんがいるので、つなぐ意識で」、右手一本で追いかけていった。片手でバットのヘッドを返し、右翼席に運んだ。
原監督に資質を見いだされ、WBCにまで連れて行ってもらった。1番打者として機能しなくとも試合に出してくれた。そして今、この重量打線の真ん中に座る。「僕は監督に拾ってもらった身。恩返しをしなくてはいけない。(監督の背番号)88回くらい胴上げしたい。思いっきり」。芸術的な決勝24号2ランは、巨人軍の5番打者としてふさわしい仕事だった。
2点を守り抜いたのも、09年を象徴する男だった。先発ゴンザレスが奪った21アウト中、16個が内野ゴロだった。大一番でも低く低くボールを集め、外野への打球は3回、谷繁に許した中前打だけ。7回を被安打2、同一リーグ無敗の14勝目をマークした。ヤクルト時代は故障がちだったが、原監督の目に留まった。年俸3000万円で移籍した格安助っ人は開幕から1カ月を2軍で過ごした。「しっかり準備していただけ。バックを信じて投げただけさ」。亀井とゴンザレスが口をそろえたのは、周囲への感謝と信頼だった。
原監督が傾倒する戦国武将・上杉謙信の信条「義」の精神を、選手は戦いの中で身に付けていた。
原監督
利が最優先される戦国時代に「義」を尊び重んじた。そんな懐を持っていたい。でもいい選手は、個人として技術は優れているのはもちろん、「義」を心の中に持っている。
WBCで調子の上がらなかったイチローが、自ら送りバントを試みた姿を見て抱いた感慨だった。フォア・ザ・チームを持ち合わせた個の集合体。眼前に迫ったリーグ3連覇は、原監督が追い求める像にチームが近づいた証しだ。【宮下敬至】
[2009年9月23日9時27分
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