とんだ「怪盗シンデレラ」が登場した。日本ハムが開幕3連戦で、女性ファンによる盗難被害に遭っていることが23日、分かった。今季から一塁側内野席に設置された女性限定の「シンデレラシート」で、高級クッションやオペラグラスなどの備品を持ち帰る行為が多発。シートお披露目となった20日からのソフトバンク3連戦だけで、推定で計5万円相当の損害を受けたことが判明した。

 開幕カードを1勝2敗と負け越したチーム同様、球団も苦悩していた。被害は確認されているだけで約1万3000円の「テンピュール社」のクッション、観戦用に貸し出すオペラグラスとブランケット。それぞれ数点、試合後に席からなくなっていたという。球団関係者は「もうモラルの問題。本当に困ってます」と、今季の目玉企画の1つだけに肩を落とした。

 同シートは女性用の美容アイテムなど「おみやげ」を用意しているが、備品の持ち帰りは禁ずる案内文を配布している。球団側は「確信犯」の可能性が高いとの見方でいる。被害は少額も、荷物などを座席に置いてゆったりと観戦するため2席分を1席として1試合限定150席を販売(1席3800円)。当日券4000円の席を150席減らしたため、単純計算で1試合60万円のチケット収入を削り確保している。被害額以上に損失は大きい。

 利用した女性ファンでない可能性もあるが、同シートで起きているのは事実。ただ熱烈応援してもらっているだけに、刑事事件などにはせず、まずは事態を見守り再発防止を促していく。悪質なのはごく一部なだけに、球団関係者は「マナーとかの問題なので」と自覚に期待した。悪質行為が撲滅できれば、純粋な黄色い声援が、日本ハムの本物のシンデレラ・ストーリーへの強力な後押しになるのだが。【高山通史】

 [2010年3月24日10時2分

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