<プロ・大学交流戦:阪神4-3近大>◇5日◇鳴尾浜

 あわや歴史的敗戦!?

 阪神のファームが、近大にサヨナラ勝ちでプロの面目を保った。5日、兵庫・鳴尾浜で関西初となる近大とのプロアマ交流戦。1点リードされた9回2死一塁から上本博紀内野手(24)の逆転サヨナラ2ランで勝利。ドラフト候補の近大・中後悠平投手(3年=近大新宮)に苦戦したが、何とか崖っぷちで意地を見せた。

 プロが大学生に土壇場まで追い詰められた。1点リードを許したまま9回も2死一塁。近大ベンチは金星を目の前に盛り上がる。だが、プロの意地がある。3年目上本が大ピンチを救った。右腕山本隆太投手(2年=呉宮原)の直球を左翼へ逆転サヨナラ2ラン。負けられない戦いで恥をかかされずに済んだ。

 上本

 結果はたまたまホームランになったけど、つなごうと思っていた。

 ネット裏で見た沼沢球団本部長は苦笑いしかない。

 沼沢本部長

 勝敗は二の次とはいいながら、ねえ…。ウチの打者もちょっと情けないところがあった。

 3月に解禁された大学単独チームとプロとの交流戦。1日には巨人2軍が中大と3-3で引き分けている。関西初となった試合も接戦だった。初回に先発清原が先制される。その裏に浅井の2ランで逆転したが、2回に再び1点を勝ち越された。その後はプロ注目の変則左腕・中後の前に沈黙。チーム安打は近大の11本に対し、わずか4本。高卒ルーキー中谷や、穴田、坂口ら育成選手も出場した“3軍”だったが、上本の1発がなければ、歴史的な敗北だった。

 吉竹2軍監督

 プロとしてのプレーを見せようと思ったけど、内容的に悪かったので申し訳ない。(3打数無安打の)野原将とか残念だったし、形も悪い。(近大は)1球にしがみつく、泥んこになる。我々が忘れかけているところを見せてもらった。若手がいろんな選手を見ることはいいことだし(プロが)まねをしようということだっていい。

 早大時代はプロとの交流戦がなかった上本は言う。

 上本

 プロ野球のレベルが高いというか、それにあこがれて、うまくなりたいと思う人もいる。自分もそう思ってやってきたので、いいことだと思う。

 現在は育成選手制度によって「プロ野球」の枠が拡大した。近い将来、大学生に負けても番狂わせとは言えないかもしれない。ともかく不名誉“1号”にならず、阪神側は胸をなで下ろしたに違いない。【益田一弘】