巨人が、ソフトバンクから国内FA権を行使した杉内俊哉投手(31)と、8日に都内で第1回交渉を持つことが5日、分かった。条件は、4年総額20億円と背番号18を用意。金銭面ではソフトバンクを大きくしのぐわけではないが、「巨人の背番号18」という野球人のプライドに訴える条件を提示し、獲得にまい進する。

 惜しみなく「栄光の18番」をささげる。巨人が、エースナンバーの背番号18を、FAで他球団から移籍する杉内に用意した。久々の大型FA補強となる「杉内獲得」。11月29日に杉内の代理人・酒井辰馬弁護士がFA権行使を宣言した際に、他球団との交渉は7日以降と話していた。巨人は速やかに日程調整し、8日に初交渉を設定した。同弁護士と杉内本人を都内に招待し、熱烈に求愛する。

 金銭面の条件は、出来高込みの4年総額20億円の大型契約とみられる。巨人は、06年オフに日本ハムからFA移籍した小笠原と同等レベルの高評価を下した。4年20億円は日本球界のFA移籍史上最高額となる。ソフトバンクも4年総額20億円という条件をすでに提示している見込み。巨人の提示する金額は、古巣の条件を圧倒するものではない。それでも、金額以上の必殺技を用意してある。それが「18」だ。

 前任者の桑田氏が06年まで背負った「18」は、5年の間、空き番号だった。今年の新人王・沢村はドラフト指名を受けた後、背番号18を「欲しい」と明言していたが、時期尚早とばかりに却下された。今年は、くじに外れたもののドラフト1位に指名した東海大・菅野智之投手(22=東海大相模)にも「18番」禅譲は、当時の清武GMが難色を示していた。ゴールデンルーキーと呼ばれる、将来の可能性に富んだ逸材にも譲れない。それだけの重みが「巨人の18」にはある。杉内の場合、入団した暁には「百戦錬磨の新エース」と呼ばれることが間違いない。それだけの実績を引っ提げてのFAに、巨人も覚悟を決めた格好だ。

 野球人のプライドをわしづかみにする「巨人の18」という条件が、杉内の心を射抜くことは必至。相思相愛の関係になるのも時間の問題だ。原沢GMが2日、「やはり、優勝という目的を達するためには必要な選手、欲しい選手だと考えています」とラブコールを送った時点では、詳細を明かさなかったが、伝統と栄光に彩られた背番号が、左腕の行く道を決定づける。(金額は推定)