<中日2-1DeNA>◇8日◇ナゴヤドーム

 ミラク竜~!

 守道監督も大興奮だ~!

 途中出場藤井淳志外野手(31)が決めた、延長10回サヨナラ勝ち。サヨナラ勝ちは今季5度目で、なんと本拠地ナゴヤドームでは14連勝と勢いが止まらない。7回までわずか1安打という劣勢も、当然のことのようにはね返した。「何でもないようなことが幸せだったと思う」。くどいようだがミラク竜だ~。

 パタパタとうちわが上下した。心地よい風にあおられながらも、高木監督のボルテージは上がる一方だった。サヨナラ勝利後のインタビュールーム。うれしさを押し殺していた指揮官が突如「しかし、よう当てたね~」と切り出した。

 「今日の展開からしたら引き分けでもいいと思ったけど、最後はミラクルやね」

 監督の後方で「うちわ」をあおいでいたのは球団関係者。熱くなったら止まらない?

 指揮官を冷まそうと手を動かしたが、ミラクル星に興奮が収まる高木監督ではない。

 指揮官をエキサイトさせたのは、伏兵の藤井だった。1-1の延長10回1死満塁。低めフォークに食らいつくと、打球は一塁手のグラブをかすめて右翼線へ落ちた。

 藤井

 時間も時間だったのでああいう場面で打席に立たせてもらって感謝です。抜けていくのが見えて実感がわいた。

 ここしかない。そんな場面で飛び出したサヨナラ打だ。今季5度目の劇的勝利。恒例儀式となっている小田からの氷水を全身で浴びた。チーム内では“言われ役”。外野のポジションを争う今季は若手の台頭もあり、2軍落ちを2度味わった。4月8日ヤクルト戦では勝負どころの6回に代走に送られ、けん制に飛び出した。高木監督が「高校生でもやらんで」と落とした“初カミナリ”の対象にもなった。出場38試合でようやく生まれた打点は、本拠地14連勝を呼ぶとびっきりの殊勲打だった。

 なぜかわが家では負けない。直前の東京ドーム、神宮遠征で5戦全敗など、東京は今季9敗2分けで関東では15連敗。先発ローテーションを巡る高木監督と権藤投手コーチの“バトル”もあり、重いムードが漂った。しかし、名古屋に帰って3連勝と完全に息を吹き返した。この試合も7回まで1安打。7回にラミレスに先制ソロを浴びる劣勢だったが、窮地を跳ね返すパワーがナゴヤドームにはある。

 高木監督

 3つ勝ったのは大きいね。ベテランピッチャーも帰ってくるだろうし、オールスターまでは何とかね。うちは大体、総力戦になるからね。

 ベンチ全体で戦うから、日替わりヒーローも出てくる。層の厚さと「地の利」なら、どこにも負けない。巨人を追いかけるのはやはり守道竜だ。【桝井聡】