史上最速でFA封印!?

 広島ドラフト2位の九里亜蓮投手(22=亜大)が日南キャンプ初休日の5日、生涯カープを誓った。宮崎・日南市内の京屋酒造を訪れ、焼酎づくりを体験。オリジナルの焼酎ラベルに「一途」と書き込み「野球できる限りは広島でやりたい」と気合をみなぎらせた。

 ほんのり赤く染まった顔で筆を手に取った。芋焼酎の試飲を終え、オリジナルの焼酎ラベルを作成。九里は「一途」と書き込み思いの丈を熱く語り始めた。

 「自分は一途で頑張りたいんです。自分が目指したいのは、格好いい男。大きな男です。そういう意味で、前田智徳さんはカープ一筋で一途にプレーされた。僕も活躍しても、格好いい男でありたいんです」

 酔っぱらっていたわけではない。真面目な顔つきでハキハキと言葉を並べた。昨季まで24年間広島を沸かせ続けた大先輩のように-。偽らざる本音だった。最短なら7シーズンで国内FA権を取得するが、権利を手に入れた場合を想像し、早くも残留と誓った。

 「(FA権行使は)考えていません。自分はまだ実力がないのに獲得してもらった。恩返ししたい。野球をできる限りは広島でプレーする。そんな選手になりたい。お金とかじゃない。男として、です」

 まだ1年目のキャンプ第1クールを終わったばかり。まだ実戦登板すらしていない段階での残留宣言は、プロ野球界広しと言えども、史上最速かもしれない。カープはFA制度導入後から主力流失が続き、昨年11月にも大竹が巨人にFA移籍していった。そんな状況だけに、ドラフト2位右腕の決意は頼もしい。

 もちろん、結果を出し続けなければ机上の空論で終わる。「毎年コンスタントに10勝以上をあげるのが目標。体ができなくなるまで頑張りたい。20年プレーできる選手にならないといけない」。「一途」ラベルが貼られた芋焼酎は大切に保管する。「カープで引退した後に飲みたい」。九里のおとこ気は本物だ。【佐井陽介】