<ヤクルト2-3楽天>◇25日◇神宮

 楽天小関翔太捕手(22)がプロ初適時打でプロ初打点をマークした。2回に1点先制し、なお2死二塁の場面で、左前適時打を放った。スタメンマスクの守備では、初登板のトラビス・ブラックリー投手(31)を好リード。6回からの無失点継投も演出した。若い力が、チームの追い風となることが期待される。

 山なりのチェンジアップに、まったくタイミングが合っていない。大胆な空振りで、2ストライクに追い込まれた。3球目も同じようなチェンジアップ。今度はキッチリとジャストミートした!

 左前打は、先制適時二塁打を放った松井稼をホームにかえす、貴重なタイムリーだった。ベンチに戻った小関は「振ったところにボールが来ました!」と、瞳を大きくさせて驚いた。

 スタメンマスクでも大きく貢献した。球威のないブラックリーを、5回2失点に抑えるのに尽力した。カーブとインコースの直球を駆使。スピードのない分、高低左右を使って、打者の目線を幻惑させた。「(調子が悪いと見限って)球種を捨てないように。捨てると打者に絞り込まれるので。多くの球種を使っていこうと思ってました。それはコーチからも言われていました」と小関。ワンバウンドの目立ったチェンジアップも、我慢して要求し続けた。左腕は決して好投ではなかったが、白星を付けた意味は大きい。ブラックリーも「小関に助けられた。インサイド、アウトサイドをしっかり投げられたよ」と、感謝していた。

 開幕1軍に食い込んだ今季。まだまだ1軍に慣れてはいない。4月13日のロッテ戦は、辛島を好リードして無失点リレーを完成させた。千葉から福岡に移動したその夜は、午前0時くらいに就寝したが、目覚めたのは翌日の正午。ホテル出発は午後0時40分の予定だった。起きた瞬間、寝坊&遅刻と思い「やっちまった!」と悲鳴が出たという。1軍の配球と打撃とは、プロ5年目といえども、それほど心身共に疲れさせる。プロ初の打点だったが、自分の打撃については「たまたまです」。酔いしれるには若すぎる。22歳は、ひたむきに白球を追う。【金子航】