新人王へ出発進行!

 ソフトバンクからドラフト1位指名されたJR九州・加治屋蓮投手(21=宮崎・福島)が5日、福岡市内のJR九州本社で指名あいさつを受け「新人王」を誓った。投げっぷりと伸びしろが評価された右腕は1年目からのローテ入りが期待される。「どげんかせんと」いけない先発陣を再建すべく、寺原、武田と宮崎出身ローテを組むことが目標だ。

 加治屋が即戦力ルーキーらしく高らかに宣言した。

 「開幕1軍目指し、キャンプから頑張って、最終的には新人王を取る気持ちで頑張ります。先発で勝負したい」

 普段シャイな右腕には珍しい力強い口調だった。

 最速152キロの直球とレッドソックス上原ばりの141キロ高速フォークが武器だ。指名あいさつに訪れたソフトバンク永山スカウト部長は「直球の質は抜群。肩の関節が柔らかい。先発ローテーションの競争ができる位置にはいる。V奪還の切り札に」と期待する。「25、26歳の完成された投手と違って、伸びしろがある」と、38歳で世界一を決める胴上げ投手になった上原のように、右肩上がりの成長曲線を描く可能性を秘めている。

 JR九州での4年で体重は12キロ増えた。毎晩どんぶり飯3杯をかきこむ。身長も2センチ伸びて183センチ。昨年1月に成長痛で左すねを骨折して以来、毎日1本、自費で瓶入り牛乳を購入。いりこを食べてカルシウムを強化。「まだ身長伸びているんですよ。最終的には185センチまで行きたい」と21歳は真顔で言う。

 福岡移転の89年以降、社会人出身のドラフト1位は97年永井(JR東海)90年木村(日本生命)の2人しかいない。1年目は永井0勝、木村4勝だった。新人王は08年5位の摂津(JR東日本東北)03年7巡目三瀬(NTT西日本中国)が受賞したがいずれもリリーフだ。社会人1年目で先発ローテーションで2桁勝利を挙げた投手はまだいない。

 加治屋が「宮崎の後輩で親しみやすいのでいろいろ聞いてみたい」と頼りにする1つ後輩の武田、小さいころ憧れていた寺原と「宮崎出身トリオ」で先発枠の半数を占めるのが夢だ。年内はJR九州でみっちり体力づくりを行う。自信を持ってプロの世界へ飛び込み、ホークス先発陣の新しい柱となる。【石橋隆雄】

 ◆加治屋蓮(かじや・れん)1991年(平3)11月25日、宮崎・串間市生まれ。大束小3年から軟式野球を始めて、大束中では三塁手。福島で本格的に投手を始めた。2年秋からエース。2年夏、3年夏は県2回戦で敗退した。10年にJR九州に入社。家族は会社員の父博樹さん(43)専門学生の弟伸さん(19)。母伊津子さんは高校2年時に、心筋梗塞のため38歳で亡くなった。183センチ、80キロ。右投げ右打ち。