鷹のセットアッパーは奥ゆかしいばい!

 ソフトバンクのセットアッパー摂津正投手(28)が7日、4500万円増の年俸9500万円で契約更改した。史上3人目となる3年目の1億円到達を示唆されながら、あえて手前で契約した。来季は先発転向の可能性もあり、先発の柱として大台突破を目指す。

 マウンドでの厳しい顔とはうってかわって摂津は終始、柔らかい表情だった。「すごく評価していただいて感謝しています。思っていた以上に評価していただいてびっくりです」。はた目には順風な更改は、ちょっとまか不思議だった。

 5000万円から倍増に近い年俸9500万円。当初9000万円を提示した球団は「倍増でもいいよ」と大台1億円をほのめかした。バラ色の契約書を前に、摂津は冷静になった。「3年やって1人前の世界なので、自分にはまだ早いかなと思った」とあえて、大台の手前で判を押したというわけだ。

 2年目オフの契約で大台となれば松坂(レッドソックス)、巨人高橋に並ぶスピード記録だった。「ありがたいです。こんなご時世なのに」と摂津は“お気持ち”だけ受け取った。

 2年目右腕の活躍は誰もが認めるところだ。昨季は1年目でリーグ最多新人記録となる70試合に登板し、今年はそれを上回る71試合のフル回転。42ホールドポイントで2年連続して最優秀中継ぎ投手を受賞した。「2年目がダメになる選手が多い中で2年間よく投げてくれたという話をもらった」と球団からの評価を確認した。

 右の先発要員不足のため来季は先発転向の可能性もある。「自分自身の引き出しが多くなるし、野球人生においても挑戦するのがプラスになると思う。チャレンジしてみたい」。摂津自身も先発へ意欲的だ。最速1億円到達を幻にしてまで、来年に気持ちを向けた。「SBM」を卒業して独り立ち。大台は先発投手として突破する。