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シート打撃で田中（左）はイチローから空振り三振を奪う。捕手城島

＜ＷＢＣ：宮崎合宿＞◇２日目◇１７日◇サンマリンスタジアム

　最終メンバー入りへ大きく前進するイチロー切りだ！　楽天田中将大投手（２０）が、日本代表合宿でシート打撃に初登板した。打者１０人を相手に３２球を投げ、３安打１失点ながら４奪三振の好投を見せた。初対決となったイチローには得意のスライダーで空振り三振を奪って「使える」と言わしめ、直球の最速も１４８キロをマークした。田中以外にも中継ぎ候補６投手が登板し、１５人のうち２人がふるい落とされるサバイバルレースがスタートした。

　世界レベルにいることを１球で示した。カウント２－３から田中が投じたスライダーは天才のバットに、かすることすら許さなかった。ひざ下に鋭く落ち曲がる決め球で、初対決のイチローから空振り三振。「自分の１番の特長はスライダーですから」と自信をのぞかせた。４万３０００人のファンが集まる中、日米球界を代表する大打者との対決は、最終メンバー入りへの道をくっきりと浮かび上がらせた。

　若々しい力強さも見せつけた。４つ目の三振は内川から。低めいっぱいに今季最速１４８キロの直球を投げ込み、昨季セ・リーグ首位打者の動きを止めた。昨年から取り組んだフォーム修正で、低めの直球がもうひと伸びするようになった。「（状態は）ほぼ万全まで来たと思う」と言うとおり、成果は代表選手を相手に最高の形で表れた。

　プロ３年目を迎えても成長は加速するばかりだ。昨年１２月に初の海外自主トレで、じっくり体をつくり込んできた。高校卒業から２年の間に全身に厚みが増し、当時の私服もきつくなってきた。だが“マーくん”のイメージからか、実際に田中を見た人々から「もっと小さいと思っていた」という声が聞かれる。本人も「やっぱり大きく見えた方がいいんですかね」と少なからず気にかけていた。それでも堂々とした投げざまは、この日投げた７人の中継ぎ候補の中で抜群に大きな存在感を放っていた。

　球界を代表する打者相手の三振ショーに首脳陣の評価もさらに上がった。山田投手コーチは「ああいうメンバーに臆（おく）することなくしっかりとしたボールを投げていた。結果も出したし（最終）メンバーに入ってこられるところまで来ている」と高く評価した。田中は「（昨年の北京五輪を違い）今回はバリバリの大リーガーもいる。楽しみ」と胸を躍らせながらも「自分をしっかりアピールして、最後まで残れるようにしっかりやっていきたい」と気を引き締めることも忘れなかった。世界一連覇を狙うサムライジャパンの中で「田中」の存在は、日増しに大きくなるばかりだ。【小松正明】

　［2009年2月18日10時59分　紙面から］

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