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シート打撃に登板した岩田は、９人相手に１安打の好投を見せた

＜ＷＢＣ：宮崎合宿＞◇３日目◇１８日◇サンマリンスタジアム

　サムライジャパンの秘密兵器が、代表最終メンバー２８人入りへ急浮上した。当落線上にいる阪神岩田稔投手（２５）が、シート打撃に初登板した。打者９人に対し、被安打はマリナーズ・イチローに許した１本だけと、丁寧に低めをつく投球で存在をアピールした。昨年の北京五輪は最終選考で脱落した。ドジャース黒田の代表入り辞退により、追加招集という形で巡ってきた今回こそ、チャンスをものにしてみせる。

　ＷＢＣに向けて磨きをかけるツーシームが切れた。岩田は第１球から勝負球を投げ込んだ。ソフトバンク松中をあっさり二ゴロに仕留めると、続く西武中島も初球ツーシームで二ゴロに封じた。「今日は狙ったところに（ツーシームを）投げられ、ゴロでアウトを取れてよかった」。その後も１４０キロ台後半の直球と、低めに制球されたツーシームを投げ分け、横浜村田、ヤクルト青木らを相手に、凡打すべてを内野ゴロに仕留めた。

　２日前の練習初日のブルペンでは松坂、岩隈に挟まれて「こんなところにいていいのかな」とドギマギしていたが、この日は自分の投球に集中した。今合宿最高の４万４０００人のファンが押し寄せた熱気にも動じなかった。狙い通りの投球で首脳陣の心をくすぐった。捕手の後方からネット越しに見守った原監督は「（岩田は）いいね。ボールの出どころとリズムのよさがね」と相好を崩した。沖縄キャンプ視察で岩田のブルペン投球を見て「よかったね。くぎ付けになったよ」と称賛していた山田投手コーチも「岩田は抜群だったね。（先発、中継ぎと）幅広く使える投手じゃないかな」と代表当確を感じさせる言葉を並べた。ドジャース黒田の辞退で追加招集された大穴が急浮上してきた。

　この日は初めてイチローと対戦。唯一の安打を中前に許したことよりも、５球目の外角低めいっぱいへ投げ込んだ１４７キロ直球を三塁線へファウルされたことに衝撃を受けた。「ああいう技術を見せられたのは初めて。すごいなと思った」。世界レベルを肌で感じることもできた。

　昨年の北京五輪でも代表候補入りし、ユニホームの採寸まで行ったが、最終メンバーには選出されなかった。その悔しさをバネに、プロ３年目で初の１０勝を記録した。今回は追加招集という形で、再びチャンスは巡ってきた。「最後のメンバーに絶対に残りたい。そして日本の連覇に貢献することが目標です」。日の丸へ懸ける思いは誰にも負けない。【石田泰隆】

　［2009年2月19日8時52分　紙面から］

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