レスリング世界選手権3度優勝を誇る元総合格闘家の山本美憂(52)が、プロボクサー日本デビュー戦をKO勝利で飾った。プロ戦績1戦1分けの田口智香(33=花形)に3回1分51秒TKO勝ち。総合格闘技引退後にボクシングに転向した山本は2戦目で初勝利を挙げた。

慎重なスタートを切った山本が3回1分すぎに本領発揮した。サウスポースタイルからの豪快な左フック一撃でダウンを奪うと、立ち上がった相手に連打を畳み掛けた。最後に右フックを打ち込むと田口は腰からダウン。そのままレフェリーが試合を止めた。

試合後、リング上で涙を流した山本は「今まで自分を信じて練習してきた成果。ボクシングのリングに立てたことが信じられない。レスリングをやっている頃からボクシングが好きだった。これからもずっとボクシングです」と興奮冷めやらぬ様子だった。

今年3月にオーストラリアで51キロ契約6回戦でプロデビュー。ミシェル・マック(オーストラリア)に1-2の判定負けを喫した。前年12月に総合格闘技の練習中にキックを受けて右前腕を骨折して手術。実戦練習ができなかったという。その後、格闘技時代から打撃指導を受けるKOBE長谷川ジムの元世界3階級制覇王者の長谷川穂積会長(45)のもとで練習を積んできた。

試合後、長谷川会長は「1カ月半合宿した。素質はめちゃくちゃある。記念で試合をやる必要はない。やるのなら地域タイトルくらい狙いたい」と今後に期待。山本も「体力は全然大丈夫。いけるところまでやります。練習ができるうちは」と上を目指す決意を口にした。

くしくも3日後の9月18日は41歳で胃がんのため亡くなった弟で格闘家の山本“KID”徳郁さんの命日。「KIDができなかかったことをやったので自慢します」と笑顔を見せた。

日本ボクシングコミッション(JBC)によると、これまで日本での公式戦出場の最年長記録は元WBO女子アトム級王者の池山直の52歳27日で、52歳42日の山本はこの記録を更新した。レスリング時代にカナダ国籍を取得した山本は、日本プロボクシング協会の加盟ジムに在籍しておらず、オーストラリアのボクサーライセンスを所持する来日外国人の扱いで日本の試合に出場した。

日本を代表するレスリング選手として活躍した山本は、16年に総合格闘技転向を決意。国内最高峰の格闘技イベントRIZINでデビューしたが、23年大みそかに現RIZINスーパーアトム級王者の伊澤星花との引退試合を最後に総合格闘家のキャリアに幕を下ろしていた。

◆山本美憂(やまもと・みゆう)1974年(昭49)8月4日、横浜市生まれ。72年ミュンヘン五輪に出場した父郁栄氏の指導で、小3でレスリングを始める。91、94、95年世界選手権優勝。04年アテネ、12年ロンドン、16年リオデジャネイロと3度五輪を目指すも届かず、16年に総合格闘技に転向。42歳でプロ格闘家デビューした。身長156センチ。