満員御礼が続く国技館に、新しいごみ箱がお目見えした。秋場所から通路に並ぶのは、淡いグレーの板に分別表示が付いた特注品。上部は大きく開き、以前の箱形とは見た目も随分違う。日本相撲協会の施設管理担当者に聞くと、変更の出発点は、観戦のお供のお弁当だった。
「今までは、弁当ガラとか売店のお弁当が入らなかったんですよ」。食べ終えた容器が投入口を通りにくく、担当者が別に袋を出して対応することもあったという。その分、場所も時間も取り、見た目にも課題があった。「ガバッと開いて入れやすいように」と、特注で作り直すことになった。
5月の夏場所後から現場の声を集め、見直しを進めた。製作を依頼したのは、地元・墨田区の浜野製作所。注文は「入れやすく、回収しやすく、かっこよく」。1台3万5000円の特注品を50台、総額175万円で日本相撲協会が導入した。
新しいごみ箱は、枠に120リットルの袋を掛ける構造。入る量は以前と変わらないが、投入口を広く取り、容器を捨てやすくした。正面の板で見た目を整え、下にはキャスターも付く。袋を大きく開けて回収できるようにもなった。担当者が強調したのは、作業効率以上に「お客さんファースト」だった。
館内から出るごみは、担当者の見立てでは1日1トンほど。取組が終わった後も、清掃スタッフは午後8時、9時ごろまで分別を続けるという。観客が使いやすく、回収する側も扱いやすい。その両方を考えた工夫が、館内の通路に並んでいる。
熱戦を見て、弁当を味わい、空いた容器を無理なく捨てる。ごみ箱が使いやすいことは、気づかれないまま終わるかもしれない。それでも、気持ちよく相撲を楽しんでもらうために手をかける。新しい50台には、そんなもてなしが詰まっている。【山田遼太郎】


