アマチュアボクシングを統括する国際ボクシング連盟(AIBA)が、全てのプロ選手のリオデジャネイロ五輪への参加を可能にするよう規定を改正したことに、国内外からさまざまな意見が出ている。

 AIBAは12年ロンドン五輪後に独自のプロ団体(APB)を設立。規定を緩和してAPB所属のプロ選手に五輪参加を認めていたが、それ以外のプロ選手はこれまで対象外だった。今回の規定改正は、五輪本番が約2カ月に迫った中での決定でもあり、プロ選手がどれくらい出場するかは不透明。プロ選手の参加に否定的な意見も多いが、この改正が4年後の東京五輪まで適用されることになると、世間の風向きも変わるかもしれない。

 ロンドン五輪ミドル級で金メダルを獲得後にプロ転向した村田諒太の例はあるものの、後に世界王者まで上り詰めているプロボクサーでも、五輪には出場すら出来なかった選手は少なくない。最近では、井上尚弥がロンドン五輪出場を懸けた予選決勝で敗れて涙をのんだ。井岡一翔も08年北京五輪出場を目指していたが、夢かなわずプロに転向。アマ時代の悔しさを発奮材料に、ともに日本を代表する世界王者になった。

 井岡は、全てのプロ選手が五輪に参加できるようになった現況について「何とも言えない」という。どんなルールになるのか、出場選手はどれくらいになるのか…など不透明な材料が多過ぎることもある。「僕自身、オリンピックに出たいという強い気持ちが、そこまでないんです」と、以前のような五輪への情熱がないことも打ち明けた。それでも、こう続けた。「(状況が)具体的になっていくのであれば、もしかして興味が出てくるかもしれないけど」。

 リオ五輪への出場は現実的に不可能だが、4年後の東京五輪ならどうだろうか。人生で1度体験できるかどうかの母国開催の五輪を、仮に現役として迎えることができたなら…。多くの日本人プロボクサーも迷うことだろう。井岡は「自分がどうなってるか分からないけど、その時に出られるような環境になっているのであれば、自分の頭にもいろんなことがよぎるかも」と話した。4年後の井岡は31歳。その時点でプロでの夢、目標をほぼ達成しているとすれば、アマ時代の“忘れ物”を取りに戻りたい感情が芽生えても、不思議ではない。【木村有三】