4日夜、新日本プロレスの東京ドーム大会メインイベント後、海の向こうから1本のメッセージが投稿された。

「ようやくですね。おめでとう」。

ツイッターで短く、ひらがなのみの日本語で。IWGPヘビー級、IWGPインターコンチネンタル両王座を獲得した飯伏幸太(38)は祝福を受けた。投稿の主は飯伏とタッグ「ゴールデン☆ラヴァーズ」を組んでいた盟友。米プロレス団体オール・エリート・レスリング(AEW)のヘビー級王者ケニー・オメガ(37)からだった。

13年前の08年、カナダ人レスラーのオメガがDDTで来日した後から両者の関係は始まった。路上マッチなどで戦いを超越した関係となり、翌09年1月にはタッグを結成。DDTで王座獲得して人気タッグになると、10年1月には新日本にも参戦した。同11月にはIWGPジュニアタッグ王座を獲得。先に飯伏が13年に新日本とDDTのダブル所属となり、翌年にはオメガも新日本に移籍した。

当初、新日本ではタッグを解消したが、18年にオメガが加入するユニット「バレットクラブ」でCody(AEWのコーディ・ローデス)との内紛をきっかけに2人はタッグを再結成。19年2月、オメガのAEW移籍で再び別々の団体を主戦場に選択することになったものの「ようやくですね」のツイッター投稿を通時、両者の絆は揺るぎないことが分かる。

16年に外国人初のG1制覇、18年にはIWGPヘビー級王座を獲得と、飯伏は新日本でオメガに「先行」されていた。18年にはCodyとの3WAY形式ながらもIWGP王者オメガに挑戦した。「ようやくですね」の文字には同じ“ステージ”に並んだ意味も込められているように思える。

一方、オメガ自らもAEW旗揚げから約2年近くが経過した昨年11月、AEWヘビー級王者だったジョン・モクスリー(35)を下し、ようやく同団体最高峰のベルトを手にした。両者の出会いから約13年。米人気団体WWEのライバルとなる日米団体のヘビー級王座には、飯伏とオメガが君臨している。モクスリーは現在、IWGP・USヘビー級王者でもあり、新日本プロレスとAEWには少なからず関係がある。いつか両者が両王座を懸けて対戦する日が来るかもしれない。

ゴールデン☆ラヴァーズによる日米ダブル王座戦を実現するには、両王者が防衛を続けることが大前提。5日夜、東京ドームでジェイ・ホワイト(28)の挑戦を受ける飯伏は内藤哲也との激闘で体力的に厳しい状態ではあるだろうが、オメガからのメッセージが届き、飯伏には勝たなければならない理由が、また1つ増えたように感じた。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)