WBAスーパー、WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(31=BMB)が「夢」へ前進した。
13日にWBO同級王者ジョナサン・ゴンザレス(31=プエルトリコ)との3団体統一戦が正式発表された。4月8日、舞台は有明アリーナ。当初はWBCから指示された同級1位ヘッキー・ブドラー(34=南アフリカ)との指名試合が最優先だったが、「統一戦の方がモチベーションが上がる」という寺地の希望が実現する運びとなった。
同日はキックボクシングで無敗を誇った“神童”那須川天心のボクシングデビュー戦、さらに“モンスター”井上尚弥の弟、拓真のWBA世界バンタム級王座決定戦が組まれた。最近行われた日本での興行でも群を抜く豪華ラインアップ。3団体統一王者を狙う寺地でさえ、主役を張れないかもしれない。それでも、いつもの人なつっこい笑顔で「(興行自体が)注目されることが気持ちも上がる。楽しみじゃないですか」。
格闘技界では「俺が俺が」タイプが圧倒的多数を占める。表に出さないだけかもしれないが、寺地の「穏やかさ」はその中にあって異色でもある。ただ、そんなメンタルも最近、身につけたものという。「変わってきたんですよ。僕もいろいろありましたからね」と笑って言った。
かつては元WBA世界ライトフライ級王者具志堅用高氏の連続防衛13回超えだけが、ボクシングを続けるモチベーションだった。その大目標が消えた。連続防衛中の20年には“泥酔騒動”を起こし、3カ月のライセンス停止処分も受けた。いろいろな苦い経験をへての「穏やかさ」でもある。
ゴンザレス戦に向けては早々と対策を練ってきた。「相手がどうきても対処できるように、引き出しを増やしている」と明かし、警戒点は「いかにうまく、どれだけ姑息(こそく)にくるか、でしょうね」とボクシング技術以外をあげた。
2戦連続で王者同士の対戦。その中で寺地の自信は膨らむ一方だ。「相手がどうこようが関係なく、自分はいくんで」。甘い、そして苦い経験を積み重ねて、寺地は「王者のメンタル」を手に入れた。それを4・8のリングで証明する。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)


