運も実力のうちと言うべきなのか。千代の国が今場所2度目の横綱戦不戦勝となった。4日目の白鵬に続き、鶴竜が休場。相撲を取らずに勝ち名乗りを受けて、涼しい顔で支度部屋へと戻ってきた。

 昭和以降、1場所で2度も横綱戦で不戦勝した力士は4人目となった。絶対的存在として立ちはだかる横綱。平幕上位力士にとっては、金星獲得の好機でもある。そんな相手に相撲を取らずして2勝は、単に勝ち越しのことだけを考えれば最高の白星だ(不戦勝は金星にならない)。

 過去の3人は、その場所で勝ち越している。中でも元関脇栃乃洋の竹縄親方は、2度目の不戦勝で勝ち越しを決めた。同親方は「それで勝ち越しましたから。疲れで言えば楽は楽。でも流れが変わらないように体は動かしてました」と、当時を振り返った。

 横綱戦で2度も不戦勝となり、千代の国はさぞかし喜んでいるだろうと思ったが違った。「結びの一番でやりたいというのはありました。喜んでばかりはいられない」とポツリ。まずは今場所勝ち越して、横綱と対戦できる地位を守る。そして、来場所こそ真っ向勝負を挑む。【佐々木隆史】

昭和以降、1場所で横綱に2度不戦勝した力士
昭和以降、1場所で横綱に2度不戦勝した力士