明日の幕内入りを目指して、しのぎを削る十両力士。いろいろな思いを胸に1日一番に集中する中、2人の力士が締め込みに特別な思いを込めて本場所に臨んでいる。

新十両の初場所以来の十両返り咲きとなった天空海(立浪)は、ライムグリーンの締め込みを締めている。初場所は青色だったが心機一転。実は、度重なるケガなどで道半ばで引退した、弟弟子の元十両力真から譲り受けたもの。「十両に上がったら締めて下さい」と言われたという。しかも力真が締めることなく引退したため、新品のままだった。「力真の気持ちも引き継いで勝ち越して恩返しをしたい」と誓った。

翔猿(追手風)は、銀色から金色に変えた。本来は名古屋場所で使う予定だったが、間に合わずに今場所から使用。春、夏場所で2場所連続7勝8敗だったため験直しで替えた。「銀の上は金。いつかは金星を取るぞ、という気持ちも入っています」と話した。兄弟子の遠藤も金色の締め込み。2人の“ゴールデンコンビ”が、そろって金星を挙げる日が待ち遠しい。唯一、身に着ける物だけに、関取のこだわりが詰まっている。【佐々木隆史】