お客さんがいなければ、世話をする人は不要。升席の客の案内、飲食などのサービスをするのが出方(でかた)と呼ばれる。はかま姿が動き回る風景も大相撲独特の文化だが、年に1度の大阪場所で今年は見られない。その大元であるお茶屋=相撲案内所が、無観客の影響をもろに被った。

観戦チケットに加え、弁当や土産物を提供して商売になる。日本相撲協会が無観客での開催を発表したのが初日1週間前の1日。翌2日に協会と大阪相撲案内所組合(加盟8社)のチケット払い戻しなどに関する話し合いが行われたが、現時点でも客への対応で混乱が続いているという。

同組合の真(さな)喜代司組合長は「現状でまだ何も。場所に入れないし、活動できずに困っている。場所が終わってからも協会と話し合いたい」。あるお茶屋の関係者は「あまりに唐突で…。土産物など発注済みで、アルバイトもすべて断りを入れた」。損害額については「計算できる状況にないが、(お茶屋の規模が)大きいところほど大変じゃないですか」と話す。

状況的に仕方がないとはいえ、ダメージは計り知れない。「安倍首相に期待したい」と政府の支援を願う声は切実だった。【大相撲取材班】