元前頭の東序二段14枚目舛ノ山(30)が22日、師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)とともに引退会見に臨んだ。かつて180キロ近くあった体重は現在120キロ台。「悔いはないです」という一方、「もう1度土俵に上がりたかった」と本音をにじませた。

指定難病の後縦靱帯(じんたい)骨化症を患い、腰や下半身にしびれがでた。舛ノ山によると、「5、6年前から違和感があった」。今年初場所で悪化。2場所休場してリハビリ入院し、回復を目指したが引き際を自身で判断した。

06年名古屋場所初土俵。突き押しを武器に10年九州場所で新十両に昇進し、高安とともに平成生まれ初の関取となった。12年九州場所で最高位の西前頭4枚目。その後はけがなどで苦しみ「けがするのも自分のせいなんで。必ず努力は報われると信じてきた。でも体は正直で無理をした分、きつさもあった。悔しい思いを受け止めないといけない」と言った。

引退後は「まず体を治してから」と未定。「(経験を)今後にも生かしていきたい。悔いなく次の道に進みたい」。入門時、15歳だった少年の顔は人生の荒波にもまれて精悍(せいかん)に引き締まっていた。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

引退会見を行う舛ノ山(日本相撲協会提供)
引退会見を行う舛ノ山(日本相撲協会提供)