大相撲名古屋場所(4日初日、ドルフィンズアリーナ)が目前に迫った。昨年春場所以来、1年4カ月ぶりとなる地方場所開催。本場所で使用される土俵の土は東京場所と同じ「荒木田土」だが、季節や天候などによって水分量の調整が必要になるという。6場所全てで土俵用の土を納入している初野建材工業(埼玉・川越市)特販部の内田英明さん(62)に話を聞いた。
同社が取り扱う荒木田土は川越市内で採取され、大相撲の他にもプロ野球のマウンド、テニスコートやゲートボールなどでも使用されている。荒木田土は粘性があり、ヒビ割れが起こりにくいなどの特徴がある。伝統的に荒川沿いで採取された荒木田土が、国技館の土俵に使われていた。同業務に携わること約30年という内田さん。「荒木田土は生物にも優しい。力士も裸で相撲を取っているわけだから、肌について荒れちゃったりしたら危ない。混入物がないので、自然にも優しいんですよ」と説明した。
17年の名古屋場所前に行われた力士会の際や同場所中に、力士から滑りやすいなどの指摘があり、日本相撲協会は同年九州場所から荒木田土を地方場所でも使うように統一した。巡業でも全体の3分の2で納入するなどの実績がある。
7月の名古屋は湿気が多く、厳密な比率に関しては公表できないというが、東京と比較して若干水分量を多くする。逆に乾燥する11月の九州場所や1月の初場所では、水分量を少なめに。土俵築(どひょうつき)を指揮する呼び出しの大吉らと対話を重ね、年々改良を図っているという。内田さん自らも毎場所前、土俵築の現場に参加。「あまり水を入れすぎてしまうと、軟らかくなって呼び出しさんが土俵を作りにくくなってしまう。長年の勘じゃないですけど、水加減を手で触って確認して分かることもある」と力を込めた。
巨体の力士が戦うため、土俵に掛かる負担は大きい。「200キロ近い人たちが四股を踏んだり、1日に何番も取組をする。それが15日間続いて、年6場所ある。すぐ壊れてしまってはいけないし、力士の方にケガをしてもらいたくないのが大前提。私どももそういうことを大事に納入させてもらっています」。周囲の支えが1年4カ月ぶりの地方場所開催を後押しする。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)


