06年から合宿で米国に渡り、スパーリング相手を探し求めた。本場で脚光を浴びたのは11年。WBO世界ミドル級4位で27戦全勝(24KO)カークランド(米国)に1回TKOで勝った。番狂わせに会場は沸騰。「その後にメインの試合を見に行ったら、会場中からすごい喝采を浴びた。試合から2年後でも、まだカークランド戦のことを言われたり」。米国で1番人気の階級のすごみを肌で感じた。その後、海外を転戦し、日本人の開拓者として中量級戦線で活躍。ファイトマネーは「日本の金額に0が1つ(1桁)ついたくらい違かった」と言う。

 2人は村田の世界戦をどう見るか。佐藤は「海外では試合直前の細かな部分で気を取られる。日本でやれるのは大きい」とみる。石田は「アマ時代から世界中の選手と試合をしている。だから黒人だからパンチあって強い、とかじゃないって分かっている。人種じゃないと。だから自信をもっている。それが一番大きいんじゃないか」と精神面に優位性を見いだした。

(敬称略)【阿部健吾、益田一弘】

 ◆佐藤幸治(さとう・こうじ)1980年(昭55)12月11日、千葉・野田市生まれ。中3から競技を始め、5連覇した全日本選手権ではライトミドル、ウエルター、ミドルと3階級制覇。04年にプロ転向し、07、09年に東洋太平洋ミドル級王座。12年に引退。戦績は20勝(18KO)2敗。現在は日本シークレット・サービスに勤務している。

 ◆石田順裕(いしだ・のぶひろ)1975年(昭50)8月18日、熊本県長洲町生まれ。98年全日本社会人ライトミドル級優勝。00年5月プロデビュー。スーパーウエルター級の日本、東洋太平洋王座を獲得し、09年にWBA世界同級暫定王者。ミドル級の世界王座には12年にWBOで挑戦(判定負け)、13年にWBAで挑戦(3回TKO負け)。15年に引退。戦績は27勝(11KO)11敗2分け。大阪寝屋川石田ボクシングクラブ会長。