ラスベガスドリーム、再燃! ボクシングのロンドン五輪金メダリスト村田諒太(31=帝拳)が8日、現役続行を表明した。先月20日のWBA世界ミドル級王座決定戦で不可解な判定で初黒星を喫したが、世界ベルト再挑戦を決意し、都内のジムで会見。「夢のまた夢」に描いていた米ラスベガスでのビッグマッチを目標に置き直した。敗れたアッサン・エンダム(フランス)との再戦も含め多様な選択肢がある再起戦は、他選手の動向を見て11月以降になる見通しだ。

 初の世界戦となった5月の試合に向けて伸ばしていたひげがきれいにそられていた。さっぱりした顔に生気をみなぎらせ、今後を語った。

 村田 人生ノートの「夢のような夢」に描いていたのは、ラスベガスでビッグマッチをすることでしたが、いつのまにか現実としてとらえていけるものばかりを見ていた。今回の試合で、世界的な評価も少しは得られたので、夢のような夢に少しは近づけたと思いますし、あらためてそこを目指したい。

 元世界王者エンダムからダウンを奪い、その強打、守備力が世界の一線級に通用した自信が、かつての自分をよみがえらせた。プロ13戦目の黒星を「得ることはできなかったけど、失うものはなかった試合」と総括した。気持ちはなえない。むしろ、沸き立つ。「唯一得られなかったものはベルト。取りに行くために尽力したい」とこの日から本格的な練習を再開した。

 再起戦は白紙で、ミドル級戦線の動向を見極める。7月にはWBOの王座統一戦、9月には3団体統一王者ゴロフキン対アルバレスのミドル級頂上決戦が控える。各団体のベルト保持者が誰になるのかで、標的も変わる。帝拳ジムの本田会長は村田が現役続行した場合の次戦を「11月以降の可能性が高い」としており、秋を過ぎ、狙うベルトは固まりそうだ。

 WBAからはエンダムとの再戦指令があり、WBC、WBOからは参戦要請が届いている。「組んでいただければ誰とでもやります」。確信を得た黄金の拳で、夢のような夢をつかむ。【阿部健吾】