WBA世界ミドル級で村田諒太(31=帝拳)が、王者アッサン・エンダム(フランス)に7回終了TKO勝ちした。5月の王座決定戦以来の直接再戦で、1995年の竹原慎二以来2人目のミドル級王座獲得となった。

 WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(白井・具志堅スポーツ)は、同級5位トマ・マソン(フランス)に7回TKOで勝利し、全勝14連続KOで初防衛戦に成功した。

 WBC世界ライトフライ級王者の拳四朗(BMB)は、同級1位の元世界王者ペドロ・ゲバラ(メキシコ)に判定勝ちし、初防衛に成功した。


◆WBA世界ミドル級タイトルマッチ12回戦

新王者誕生


村田諒太(31=帝拳、同級1位)7回終了TKO×アッサン・エンダム(33=フランス、王者)

【1回】序盤はお互い軽いジャブを放ち様子を見る。村田は両手のガードを高く保ち、その間からエンダムに向かって不敵な笑み。村田の左ボディーが数回クリーンヒット、2分30秒すぎにも右フックがさく裂する

【2回】30秒すぎ、村田の右フックがヒット。エンダムは村田の右封じか、接近戦を挑み、クリンチでかわす場面も

【3回】村田は40秒すぎに右アッパー、左フック、右のサイドボディーとコンビネーションをヒットさせる。村田の右を警戒するエンダムのガードも高く、1分30秒すぎにも右サイドボディーをヒット。2分40秒すぎには村田の右ストレートがさく裂

【4回】ゴングと同時に村田の右がうなる。30秒すぎには右ストレート2発と同フックの右3連発。1分すぎに右フック。2分40秒すぎ、村田の左サイドボディーがヒット。エンダムはスリップダウンするが、足元がフラついている

【5回】30秒すぎに村田の右フック、左右のボディーがヒット。左右ボディーの後に右を放つコンビネーションが有効。2分すぎ、村田の右ストレートがエンダムのアゴにヒット。エンダムはグラつく

【6回】村田の左右のボディーが的確にヒットし、徐々にエンダムのスタミナを奪う。残り20秒、村田の右ストレートが顔面にクリーンヒット、エンダムの腰が落ちたが何とかダウンをこらえる

【7回】20秒すぎ、村田の右ストレートから右のサイドボディー、1分すぎには右ストレートから左右のサイドボディーがヒット。1分10秒すぎ、村田はエンダムに強烈な右フックを2発、エンダムはフラつく。2分すぎ、村田の左ストレートが顔面をとらえた

【8回】ゴングが鳴る直前、エンダム陣営から棄権の申し出。村田のTKO勝ちが決まり新王者に。村田は涙で顔をゆがめ、右手を突き上げグルグル回す

<コメント>

◆村田「今回の試合のTシャツ勝ってくれた方もいるかと思うんですけど、メイクディスアワーズです。みんなで作った勝利です。泣いてません。デビューした年の12月、両国で試合したときに全然良くない試合で、僕なんて全然チャンピオンになれないと見捨てられるかと思ったら、こうやってみなさん来てくれて、感謝しています」

▽浜田剛史・帝拳プロモーション代表の話 村田のプレッシャーは相当なものだったと思う。完璧だった。やろうと思ったことを全てやった

▽竹原慎二氏(日本初の世界ミドル級王者)の話 五輪メダリストで世界王者は本当にすごい快挙。金メダルの村田はマスコミの注目や周囲の期待を背負い、私の時とは段違い。前の試合を負けにされ、今回は絶対に勝たないといけないというプレッシャーも強かったはず。褒めてあげたい

▽八重樫東・元世界3階級王者の話 僕は村田君が負けた翌日に負けた。あれからの期間、僕の何倍も努力したんだなと純粋に感動し、勇気をもらった。またはい上がろうという気持ちになった

▽山中慎介(WBC世界バンタム級前王者)の話 村田はこのプレッシャーの中でよく力を発揮した。3回あたりから彼の感覚で動けていた。精神的にもダメージを与えられた結果が、あのTKOになった

1回、左ボディーを放つ村田(中央)(撮影・滝沢徹郎)
1回、左ボディーを放つ村田(中央)(撮影・滝沢徹郎)
7回終了で、アッサン・エンダム(手前)をTKOで下し新王者となって泣きながら喜ぶ村田(撮影・浅見桂子)
7回終了で、アッサン・エンダム(手前)をTKOで下し新王者となって泣きながら喜ぶ村田(撮影・浅見桂子)
勝利が決まり村田は泣き崩れた(撮影・滝沢徹郎)
勝利が決まり村田は泣き崩れた(撮影・滝沢徹郎)

◆WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦

初防衛


比嘉大吾(22=白井・具志堅、王者)7回TKO×トマ・マソン(27=フランス、同級5位)

【1回】 比嘉は体を上下左右に揺さぶりジャブをくり出す。比嘉の左フックがヒット。マソンも接近戦で打ち合う展開に比嘉もブロックし応戦

【2回】 1回と同様、中央でともにジャブの差し合いで試合が進む。中盤では比嘉が連打放つもマソンはガードを固め決定打を許さない

【3回】 序盤、比嘉はジャブで相手の体勢を崩しにかかるもマソンはガード。終盤では比嘉がガードの上からアッパー3連打を打ち込む

【4回】 30秒すぎ、比嘉は青コーナーに追い詰め連打放つもマソンはガードで堪える。終盤ではアッパーから左フックを放つもマソンはカウンターを合わせてくる

【4Rまでの採点】 39-37、40-36、40-36で3者比嘉

【5回】 比嘉の左フック3連発から左アッパー放つもマソン耐える。終盤には比嘉の左フックが顔面にヒット

【6回】 1分すぎ、比嘉の左ストレートがヒット。マソンは疲れたのかクリンチに逃げようとする。ロープを背にしたマソンに比嘉は連打。なおも追いかけパンチを放つもマソンは倒れない

【7回】 比嘉はジャブで距離を縮めにかかる。比嘉のパンチにマソンが左膝をつきダウン。しかし左まぶたをカットしたようでドクターに見てもらう。ここでゴングが鳴り勝利した

<コメント>

村田さんにいいつなぎが出来てよかったです。ベルトを獲ってくれると思います。初防衛戦が一番難しいといわれていてKOにずっとこだわっていたので、倒せてよかった。(14連続KOは)自分の力だけではどうにもならない事があるので、リングの中では孤独ですけど、チャンピオンになるには周りの力を借りないと出来ないことなので、感謝しています

5回、比嘉(右)はマソンに連打を浴びせる(撮影・浅見桂子)
5回、比嘉(右)はマソンに連打を浴びせる(撮影・浅見桂子)
具志堅会長(右)とタイトル防衛成功を喜ぶ比嘉(撮影・中島郁夫)
具志堅会長(右)とタイトル防衛成功を喜ぶ比嘉(撮影・中島郁夫)

◆WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦

初防衛


拳四朗(25=BMB、王者)判定(2-0)×ペドロ・ゲバラ(28=メキシコ、同級1位)

7回、右フックを放つ拳四朗(右)(撮影・滝沢徹郎)
7回、右フックを放つ拳四朗(右)(撮影・滝沢徹郎)
タイトル防衛に成功し父の寺地会長(右)とガッツポーズする拳四朗(撮影・中島郁夫)
タイトル防衛に成功し父の寺地会長(右)とガッツポーズする拳四朗(撮影・中島郁夫)