村田の完勝だ。前回も間違いなく勝っていたと思うが、前回以上に圧倒した。入場時はいつもと違う笑顔に見えた。村田にとって再戦はやりづらく、日本で一番重圧も受けていたとも言える。それでも腹をくくり、笑顔で重圧を打ち消し、楽しもうとしていた。あの笑顔を見て、倒せると確信した。

 左ジャブがすごかった。初回は差し合いになったが、名手エンダムに差し勝っていた。すっ飛ばす場面もあった。初回から左ボディーもよく、手数も多く、確実にポイントを奪っていた。

 何よりガードが鉄壁だった。ガードを固めて前進するスタイル。手を出さなくても、出てこられる方は一番嫌で心身がものすごく疲れる。エンダムは序盤足を止めて打ち合ったが、右のカウンターにクロスを食い、ガードの上からも効かされた。途中から足を使ったが、もう無理と判断したギブアップだろう。

 ついに村田が歴史を塗り替えた。村田のスタイルはゴロフキンら世界のトップにも十分通用する。彼らとの対戦実現が楽しみだ。井上尚弥との両輪でどんどん米国に進出し、日本ボクシングの名を高めてもらいたい。(元WBA、WBCミニマム級王者)