12年ロンドン五輪金メダリストでWBA世界ミドル級1位村田諒太(31=帝拳)が王者アッサン・エンダム(33=フランス)を7回終了時の棄権によるTKOで下した。

 エンダムは8回を前に棄権した。「無駄にパンチを受けない決断をした」。5回あたりから体調に異変を感じた。セコンドに「もらうはずのない左ジャブをもらう。いつもの状態ではない」と棄権を勧められたという。

 体調が最悪だったことを強調した。エンダムによると9月に左足首を負傷。直後にキャンプのため米マイアミに入ったが、今度は40度近い発熱に苦しみ、おまけに大型ハリケーンの影響でジムも使えなかったという。「キャンセルも考えたが、トリプル世界戦でもあったので」とこぼした。

 村田については「前回より序盤からプレッシャーをかけてきたし、パンチも多かった。彼の中で証明すべきことが多かったんだと思う」とたたえ、会見中の村田に歩み寄り抱き合って祝福。「オレのベイビー(ベルト)を大事にしてくれ。長く防衛してもらい、もう1度戦いたい」と再々戦の意気込みを伝えた。

 ◆ミドル級のすごさ 世界的にみたミドル級での王座戴冠の難しさは、多様性にも表れる。欧米人の平均体格に近いため、歴代王者は全世界に分布する。WBAでは62年の名称変更後に28人の王者が誕生しているが、15カ国に分布。王者数に対する国数の比率は、WBAの現行17階級で最大となる。日本人は95年にWBA王者となった竹原が初防衛で敗れてから、同級の世界戦は6連敗中だった。村田は6人目の挑戦者だった。