ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)の2度目の防衛戦が、環境面でも日本ボクシング界の新境地を開くことになった。

30日に都内で会見が行われ、10月20日(日本時間21日)にラスベガスのパークシアターで同級2位ロブ・ブラント(27=米国)と対戦することが発表されたが、村田の背後に掲げられた幕には「DAZN」の文字が記されていた。これまでテレビ局が中心の世界戦中継が定番だった日本人の世界戦だが、初めて動画配信サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」が生中継することになった。

英国に本拠を置くDAZNはJリーグとの多額契約で知られる。日本国内でも、プロ野球など幅広いジャンルをカバー。村田とも昨年10月にアンバサダー契約を結んでいた。会見に同席した中村俊・日本社長は「いつか王者の試合をライブで放映させていただきたいと思っていた。今回、ラスベガス、2度目の防衛戦をDAZNで生中継できることになりました。日本の選手の試合を生中継するのは初めてのことです。日本のボクシング界に貢献できるように尽力していきたい」と誓った。

12年ロンドン五輪金メダリストの村田は昨年10月に王者アッサン・エンダム(フランス)を7回終了時TKOで下して王座を獲得。4月にはエマヌエーレ・ブランダムラ(イタリア)を8回TKOで下して、日本人では初めてミドル級で防衛を果たしていた。ラスベガスでの試合は15年11月、16年7月に続いて3度目になる。今回、リングの中ではなく、リング外の環境面でもDAZNとのタッグで新地平を開くことに、「DAZN様と一緒に試合をさせていただきというのは、私にとってもチャレンジングな試合になる。既存のメディアに対してスポーツがどれだけ価値があるのか、あらためて確認するために、お互いにとってチャレンジングな舞台。その大役を頂いたので、良い試合をしてKOしたい」と語った。

DAZNとしてはコンテンツとしてボクシングに期待する方針を持つ。村田のV2戦が、今後に向けた1つの嚆矢(こうし)ともなる可能性も含んでいる。