ボクシングWBA世界バンタム級王者井上尚弥(25=大橋)が個人スポンサーロゴなしの異例トランクスで「世界最強」を目指す。7日開幕の階級最強を決めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)1回戦(横浜アリーナ)を控えた4日、都内で同級4位フアンカルロス・パヤノ(34=ドミニカ共和国)と予備検診を受けた。放送権などを理由にWBSSから通達されたシンプルなトランクスを着用する井上だが、全社スポンサー契約継続の支援を受けて優勝を目指す。

優勝候補への大きな期待が「制約」をクリアした。30カ国以上で生中継される予定のパヤノとの1回戦。海外中継に伴う放送権などの理由で、井上は個人スポンサーロゴなしという異例のトランクスを着用する。勝ち進めば約1年後に控える決勝まで続くものの、スポンサー契約は全社継続が決まったという。

特に井上は3階級制覇を成し遂げた5月のマクドネル戦前に通信関連大手NTTぷららとメインスポンサー契約を結んだばかり。関係者によれば、同社の板東浩二社長から「選手の価値が上がることはスポンサーの価値も上がること」と継続支援を約束してもらったという。シンプルになったトランクスには、井上自らの意向で昨年10月に誕生した長男名を初めて刻む予定。関係者は「井上尚弥のWBSSに対する意気込みの表れ」と説明した。

4日に都内で予備検診を受けた井上は、パヤノと2度目の対面を果たした。7月に開催された組み合わせ抽選会(モスクワ)以来の顔合わせに「キャリアを感じます。アテネ・オリンピックにも出てテクニックもある」と敬意を表した。検診では身長、リーチともに上回る体格的なアドバンテージも判明。バンタム級2戦目で減量も順調に進み、前日3日にジムワークを打ち上げた。「やばいぐらいに絶好調。今まで一番良い」と肌つやの良い表情を見せた。スポンサーの全面支援を受けた特別仕様トランクスで、「モンスター」が上々スタートを切る。【藤中栄二】