08年北京五輪柔道男子100キロ超級金メダリストで総合格闘家の石井慧が19日、32歳の誕生日を迎えた。グラップリングルール4試合、総合格闘技2試合、柔術1試合の計7試合に出場した2018年を漢字1文字で「支」と表現。主戦場としていた総合格闘技団体FFCのヘビー級王座決定戦が中止になるというアクシデントに見舞われながらも周囲のサポートに救われた1年を振り返った。

12月にセルビア・バトル・チャンピオンシップのヘビー級王座決定戦で勝利し、初めて海外ベルトを巻いた。翌週から2週連続で参戦した英国人気グラップリング大会ポラリス、柔術のNO-Gi(道着なし)世界選手権(米アナハイム)は敗退したものの、充実した3週間になったという。

石井 (初戦敗退だったNO-Gi)世界選手権は少し調子に乗っていた部分もありました。練習不足なのに勝てる世界ではないですし。(近日発売の柔道DVD撮影も重なり)疲労がひどかったところもあります。けがしなかったことが幸いです。非常に勉強になりました。

もともと18年はFFCの米ラスベガス大会が計画され、石井はFFCヘビー級王座決定戦のオファーをもらっていた。格闘技の「聖地」での王座戦を楽しみに準備を進めていたが、9月の同王座決定戦はキャンセルとの連絡を受けた。

石井 辛い時期になりました。落ち込んで気がついたらビルの端っこに立っているような状態でした。その時です。QUINTETからオファーをもらい、踏みとどまることができました。

10月に米ラスベガスで開催された桜庭和志主宰の組み技興行QUINTET3大会に参戦。元UFCヘビー級王者フランク・ミアに延長の末に反則勝ちをおさめた。QUINTET関係者、パラエストラ東京の中井祐樹代表、日本ブラジリアン柔術連盟、アクシス柔術アカデミーの渡辺孝真代表らの後押しで、柔術の黒帯も取得してNO-Gi世界選手権に出場できた経緯もある。

石井 いろいろな方々が日々、ボクを支えてくれることを痛感した1年。だから18年は漢字1文字にするなら「支」ですね。ウニヒピリ(内なる自分)。

18年は組み技大会中心の試合出場だったが、19年は本業の総合格闘技に重点を置いて試合出場する意向を示した。アジアよりも欧州での活動を優先する予定。

石井 総合格闘技が本業で、金網(ケージ)では強いと思っています。そして自信にもなりました。来年は本業を重視にしていきます。幸運なことに欧州やロシアなど海外から評価をいただいている。バルカンの方々のサポートもあります。今のところアジアでの総合ルールの試合予定はないですね。どこかボクとウニヒピリに勝てる対戦相手はいますか?

年末年始は「彼女とウニヒピリで過ごす予定です」とジョーク交じりに口にした石井は総合格闘家10年目突入を前に、しばしエネルギーを充電する。