日本プロレス界の最大級のイベント、新日本プロレスの1月4日の東京ドーム大会「レッスル・キングダム」まであと10日とせまった。平成最後の記念すべき一戦を前に「俺の平成ベスト1・4」と題し、注目カードに登場する4選手に平成時代の1・4ベストバウトを挙げてもらった。

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飯伏幸太(36)が選んだのは、現在WWEで活躍する中邑真輔と激闘を演じた15年の一戦だ。

「東京ドームは広すぎて歓声が聞こえづらいんです。これは盛り上がるだろう、的な動きをした後でも、5秒ぐらい遅れて声が届く。僕は気持ちでプロレスが左右される部分があるので煮え切らないことが多く、好きだけど不安な場所です」。でも15年の中邑戦の時は違った。声がずっと「鳴りやまなかった」と振り返る。

飯伏、中邑の2人がキレて、全身全霊でぶつかる。「技とかそういうのではなくて、体力、精神、すべてを出し切ったという感じ。中邑さんもそうだったと思う。やっていて感じました。出し切って負けたので、ものすごいすっきりしました」。この試合と、13年のG1公式戦、過去2度しかない中邑とのシングル戦が「14年間のプロレス人生のベストバウト」という。

来年1月4日は、中邑戦に匹敵する熱戦が見られるかもしれない。第1試合でNEVER無差別級王者として、挑戦を受けるのはウィル・オスプレイ。超人的な身体能力を誇る2人の一戦への注目は高く、飯伏自身も「メインイベントと同じぐらい価値がある」と話す。相手オスプレイを「10年前の自分を見ているよう」。跳躍技をどんどん繰り出す“ハイフライヤー対決”とみられるが、「実は僕の中ではそこが似ている部分ではない」と話す。「ちょっとむちゃをする、というか。のしあがるために頑張ってしまう部分の感情がすごく分かる。その部分を見るまま、感じて、楽しんでほしい」と見どころを熱弁した。

自由でいるため、16年から「飯伏プロレス研究所」を立ち上げ、フリーで活動する。新日本のリングに多く立つのは最も注目される場で「プロレスを広める」という夢への近道だからだ。「自分でも読めない」というオスプレイとの一戦でさらに自分の価値を高める。【高場泉穂】

◆15年1月5日IWGPインターコンチネンタル選手権 中邑真輔(王者)対飯伏幸太(挑戦者) 序盤は中邑ペースで進むも、中盤に顔面蹴りの連打を受けた飯伏がキレたような表情を浮かべて覚醒。中邑の得意技ボマイェを決めると、今度は中邑もヒートアップ。顔面に拳を連打し、最後はボマイェを飯伏の後頭部にたたき込んだ。試合後、飯伏は「本当に全部出し切った」。中邑は「もう少しで真っ白い灰になるところだった。あんなにヤバイ相手はいない」とコメント。