大みそかに行われる、総合格闘技のRIZIN14大会(さいたまスーパーアリーナ)で実施される元ボクシング5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41=米国)-那須川天心(20)の試合に、キック1発500万ドル(約5億5000万円)の違約金が設定されていることが29日、分かった。

メイウェザーがようやくこの日来日し会見したが、ボクシング・エキシビションマッチとして行われる試合のルールの詳細は大会2日前になっても未定。両陣営によるルールミーティングは試合前日の今日30日夜までずれ込みそうだ。

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「世紀の一戦」のルールに那須川陣営はぎりぎりまで振り回されている。「蹴ったら5億5000万円。ふざけてますね」と関係者は憤りを隠さない。メイウェザーが、ツイッターで試合中止をほのめかした後、緊急渡米したRIZIN榊原信行実行委員長とメイウェザー陣営の間で、基本ルールが決まった。その中に、キックボクサーの那須川が試合中にキックを使った場合は、1発につき500万ドル(約5億5000万円)の違約金が加えられたようだ。

対戦が決まったときは、RIZIN側も1ラウンド2回程度のキック使用は認める方向で交渉した。しかしメイウェザー陣営は拒否だけでは収まらず、違約金まで要求した。異種格闘技の始まりといわれるアントニオ猪木-ムハマド・アリ戦で、猪木のキックでアリが太ももを負傷し、世界戦が延期された事実をメイウェザー陣営は重視。キックによる負傷、何より万が一のリスクを避けるため、強硬手段に出たとみられる。

関係者によると試合で使用するグローブも軽量級の軽くて薄い8オンスとなっている。試合当日、もし、メイウェザーが那須川と同じ8オンスグローブをつけることになれば、、4階級も体重が軽い那須川にとって危険極まりない。「天心が8オンスなら、メイウェザーには10オンスぐらいつけてもらわないと。選手を守る立場から、こちらも要求していきますよ」と関係者は話した。

試合前日の30日に会場のさいたまスーパーアリーナで前日計量が実施される。通常なら、計量直後にルールミーティングが行われるが、メイウェザーと那須川は今回は別行動。関係者によると、メイウェザーが宿泊する都内の1泊200万円というスイートルームまで那須川陣営が午後9時に出向き、午後9時に出向き、そこでルールミーティングが実施されるという。猪木-アリ戦も、試合直前までルール問題がこじれた。最終的に、猪木がアリ陣営の要求をすべてのんで、試合実現にこぎつけたが、今回もメイウェザー陣営主導で話は進んでいる。

あくまでボクシング・エキシビションマッチだが、メイウェザー陣営の意向でルールがどう決着するのか、予断を許さない状況だ。【桝田朗】