ボクシングWBO世界スーパーフェザー級王者伊藤雅雪(27=伴流)が31日に都内で、初防衛成功から一夜明けて会見した。挑戦者の同級1位エフゲニー・チュプラコフ(28=ロシア)を7回TKOで、初の国内での世界戦でメインを張って凱旋(がいせん)防衛した。「なんとか乗り切った安心感がある。日本でできて、気持ちのいい幸せな時間だった」と振り返った。防衛を報じる各紙を前にしての写真撮影には「ずっとこれがやりたかった」と満面の笑みを見せた。

相手の頭で左目上をカットし、左ほおには赤いアザが残った。「いい試合をしたい気持ちが前面に出て、ガチャガチャした。負傷判定とか、引き分けとか考えて焦った。対応に時間がかかった。切ったり、腫らしたりしないようにしないと」と、まずは試合内容を反省。一緒に会見した拳四朗が「きれいな顔でうらやましい」と悔しがった。

5回からは距離をとって、回って、コンビネーションで、一方的と言える展開に持ち込んだ。「胸へのジャブ、ガードの精度とか、練習したことができた。試合はコントロールでき、収穫も多い」と口にした。「今朝も走りたくなった。筋肉痛もダメージも全くない」と6回までもフルマークの完勝を示していた。

試合後はホテルに戻り、深夜に岡辺、エルナンデスの両トレーナーと目の前にあるデニーズに行き、ハンバーグを食べたという。7月の米フロリダでの試合後もデニーズで食事した。防衛後の恒例行事になりそうだ。ネットで試合映像を見て、朝5時ごろから3時間ほど眠った。しばらくは休養し、1月には家族で海外旅行を計画している。

V2戦は白紙も春ごろを希望する。WBC王者ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)が伊藤を対戦候補の1人に挙げている。伊藤はWBAスーパー王者ガーボンタ・デービス(米国)、IBF王者テビン・ファーマー(米国)らの名も挙げた。

「場所はどこでも名のある相手、勝てないと思われる相手とやりたい。世界中に印象づけたい。ライト級も頭の片隅にはある」。その言葉の裏には、最速3階級制覇ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と対戦の夢がある。