大相撲の大関琴桜(26=佐渡ケ嶽)が、夏場所(12日初日、東京・両国国技館)に向けて上々の仕上がりを披露した。4日、千葉・松戸市の部屋で出稽古に来た大栄翔と王鵬、同部屋の琴勝峰の前頭3人を相手に9勝5敗。いずれも立ち合いの圧力に定評のある相手を、得意の右四つだけではなく、左四つや、時にはもろ差しで組み止めてからの寄りなどで実力を示した。連続で14番取ってスタミナも強化。「内容を良くして場所に向けて、中途半端なことが出ないようにやっていきたい」と、8日後の初日を見据えて話した。

2日の稽古総見が行われたが、稽古が本格化する4月30日の番付発表後、他の部屋の関取衆が出稽古に来たのは、この日が最初だった。大栄翔、王鵬は、いずれも突き、押しを得意とするが「押し方のタイプも違う。そういうところの対応を、しっかりとできるようにしたかった」と、1番1番、考えながら稽古しただけに、充実感をうかがわせた。

大関2場所目で、先代師匠で祖父の元横綱から「琴桜」を襲名して最初の場所となる。稽古場には琴ノ若から改名し、真新しい「琴桜」の木札が掲げらるようになった(実際の木札は旧字の「琴櫻」)。自身が生まれるずっと前の50年前に、祖父が引退して以来の復活となったしこ名。琴桜は木札を見ながら「不思議な感覚ですね」と、しみじみと語った。琴桜はかねて「もう1つ上の番付がある」と、横綱への思いを口にしていた。横綱のしこ名を受け継ぎ、一段と、その思いを強くしたように、木札を見つめながら表情を引き締めていた。【高田文太】