新日本のレジェンド獣神サンダー・ライガーが6日、大田区総合体育館での旗揚げ記念大会でIWGPジュニアヘビー級王者石森太二(36)に挑戦する。同タイトル戦は16年5月にKUSHIDAに挑戦して以来約3年ぶり。20年ぶり最多12度目の王者返り咲きへ、道場の自室で思いを語った。【取材・構成=高場泉穂】

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畳の上で足を崩すライガーは「自然体で臨みますよ」と悠然と語り出した。約3年ぶりに巡ってきたタイトル戦。ベルトを巻く「最後のチャンス」と位置づけるが、驚くほど力みはない。「今までのライガーすべてを見せるつもりでいく。手練手管いろんなことをしないと(石森に)勝てない。泥棒入ったんじゃないか、と思うぐらい引き出しを全部空けていく。楽しみですねぇ」とワクワクする気持ちを隠さなかった。

30年前の平成元年にライガーは誕生した。だが「中の人は元年生まれじゃない(笑い)」。推定50歳超で新日マットでは最古参。それでも変わらず年齢を感じさせないキレのある動きで観客を魅了する。強さを維持してきた1番の理由は、1年の半分以上を過ごす道場にあるという。2階に自室があり、階下で若手が練習する音や声に突き動かされる。自室の床がドスン、ドスンと揺れることもあり、たまらず1階に下りて練習に励む。

「なんか理由つけて休みたいのよ。しんどいなぁ、って。でもこの部屋にいると道場から音が聞こえる。それに先輩の意地として、『ライガーさん、練習やってんなぁ』と思われたい。だから僕にとってこの環境がベスト。練習できて、洗濯できて、いつでもちゃんこがあるし。これで強くならなきゃうそだよ」。

若い選手に刺激を受けながらも「やりすぎるとけがする。そこのラインが大事」と適度を重視する。こだわるのは食事。朝、昼は炭水化物をしっかり取り、夜は魚、肉などタンパク質だけ。道場の冷蔵庫にある食材でほぼ毎食自炊し、バランスのいい食事をこころがける。練習が終われば、自室に「ひきこもりです」。怪獣フィギュア制作やシーモンキーの飼育など趣味の世界に没頭。そんなオンオフの切り替えも心身の健康に役立っている。

強くなければ意味がない。アントニオ猪木、山本小鉄ら大先輩から受け継ぐプライドがある。「プロレスを楽しみたい。僕もそういうところはあるんですけど、うちのリングで楽しみたいはだめだよ。やっぱり、プロレスラーである以上トップ目指さないと。ベルトをとって、ライガーここにあり、というのを示したい。予想以上にファンのみなさまが『頑張って』と言ってくれるので、はいはい、頑張るよ、というのはありますね」。自信を胸に12度目の王座を狙う。

◆獣神サンダー・ライガー 1989年(平元)4月24日、永井豪宅生まれ。同日、東京ドームでの小林邦明戦で獣神ライガーとしてデビュー。同5月、馳浩を破り、IWGPジュニアヘビー級初戴冠。以来99年までの11度の戴冠は史上最多。90年1月、獣神サンダー・ライガーに改名。17年にベストオブスーパージュニアを卒業。170センチ、95キロ。AB型。