世界最速タイ3階級覇者のWBO世界フライ級王者田中恒成(23=畑中)が年末、井岡一翔(30)をターゲットに世界4階級制覇に挑む可能性が浮上した。田中陣営は29日、名古屋市内で会見し、8月24日、愛知・武田テバオーシャンアリーナで同級1位ジョナサン・ゴンサレス(28=プエルトリコ)と2度目の防衛戦を行うと発表。V2成功後の次戦が井岡戦になる可能性を否定しなかった。

現在WBOスーパーフライ級2位の井岡は6月19日に千葉・幕張メッセで「日本ジム所属選手初の世界4階級制覇」をかけ、同級1位アストン・パリクテ(28=フィリピン)と同級王座決定戦に挑む。田中はその試合を観戦予定。すべては井岡が王者になり、田中がV2に成功した場合の“たら話”だが、畑中清詞会長は「可能性はあります」。田中も「年末まで短いし、高い可能性ではないと思う」と前置きした上で「チャンスがあれば、やります」と前向きだ。

田中は井岡を「ボクサーとして尊敬している」と公言、年末激突とならなくても、近い将来の対戦を希望している。そのためにもV2戦は大事。ゴンサレスを「テクニックとスピードの印象が強い」と警戒した。ゴンサレスはサウスポーでプロ2戦目以来約5年ぶりに対戦するスタイルだが、東京五輪を目指すサウスポーのアマチュア兄亮明(25)とスパーリングを重ねて対策を練る。

日本ではWBA&IBFバンタム級王者の“モンスター”井上尚弥が話題を独占している。「1番刺激を受ける人ですが、どこか悔しい思いもある」という田中は「周囲に“こいつはもっといけるな”と思わせるような試合、スピードを全面に出してKOで勝ちたい」と宣言した。実現すれば、日本ボクシング界最高のドリームマッチとなる「田中VS井岡」。その可能性を高めるためにも、完勝で次につなげるつもりだ。