那須川天心(20)が、キックボクシング3冠を達成した。ISKA世界バンタム級王者マーティン・ブランコ(30=アルゼンチン)と同フェザー級王座をかけて対戦。2回19秒のKO勝ちで、RISEバンタム級、ISKAオリエンタルルール世界バンタム級王者に続く3つ目のタイトルを手にした。

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那須川が初の関西のリングでKO劇をみせた。南米を代表するキックボクサーのブランコに1回は様子見も、2回中盤に左フックからの左膝で最初のダウンを奪い、それでも立ち上がる相手に左右のパンチで2度目のダウン。最後はコーナーに追い詰めキックとパンチ連打で勝負を決めた。3本目のベルト奪取も「こんなものじゃ満足できない。もっと高みに挑戦したい」と通過点を強調した。

本番約2週間前にISKAフェザー級王者アメッド・フェラージが那須川を恐れて“逃亡”。直前に変更した相手を倒し、これで戦績は31戦無敗。キック界で敵無しになるのも間近。「そろそろ世界に飛びだして試合したい」「オファーがあればどこでも出ます」と世界へ目を向けた。

昨年大みそかのエキシビションマッチでボクシング元5階級制覇王者のメイウェザーに敗れ、今年3月のRISEで復活KO勝利。以来、短いスパンで戦い続ける。4月にRIZINに参戦し、5月にはAbemaTVの企画「那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円」に参加。今月はこの試合に続き、22日にAbemaTV企画で元3階級制覇王者の亀田興毅さんと特別ボクシングルールで対戦。7月21日にはRISEの世界トーナメントが控える。

自分で「常にオーバーワークです」と笑ってしまうほど前代未聞のペースに賛否両論もあるが、「今しかやれないこと。話題が尽きないのはいいこと」。すべては「強くなりたい」というシンプルな目的のため。注目される中で、強さは一層輝きを増していく。【高場泉穂】