ボクシングWBA世界ミドル級4位村田諒太(33=帝拳)が相打ち覚悟でリベンジを狙う。12日にエディオンアリーナ大阪で控える同級王者ロブ・ブラント(28=米国)との再戦に備え、3日に都内の所属ジムで練習を公開した。相手陣営も視察する中、初めて報道陣に試合想定した2回のスパーリングを披露。局面打開のため、プレッシャーをかけて打ち合う展開も意識していることを明かした。

  ◇    ◇    ◇

村田の覚悟が、にじみ出てきた。練習パートナーとして呼んだ1階級上スーパーミドル級の無敗ホープ、アイザック・スティーン(22=米国)との2回のスパーリング。減量していない90キロ近い体重の相手に対し、この日76キロの村田がロープへ、コーナーへと追い詰めた。プレッシャーをかけて右ボディー、左フック、右ストレートと3連打以上続けた。昨年10月のブラント戦(米ラスベガス)前以来、約8カ月ぶりに公開されたスパーリングで、激しい打ち合いまで披露した。

「(被弾覚悟は)スパーリングでシーンとして作っています。長いラウンドの中で無理してでも前に出る。そのうちの一環。試合の中で無理して打ちにいくのは相手のペースになったらあると思います」。

前回の対戦では村田が774発のパンチ数に対し、ブラントに1262発も打たれたことが米ボクシング統計サイトで判明した。ブラント陣営のピピトーン・コーチが見守る中、堂々と試合の流れを変える、局面打開のオプションとして「相打ち覚悟」を想定している姿をみせた。

計130回を超えるスパーリングは5日に打ち上げる。「悔しい思いがあるのでぶん殴って倒したいだけ」。村田が臨戦態勢を整えてきた。【藤中栄二】

▽村田の練習を視察したブラント陣営のネイト・ピピトーン氏「前回よりもパワーアップした印象。もともとの村田の良さが1つレベルを上げた感じだ。前回より村田のパンチ数が多くなったが、それはブラントに隙を与えることになる。結果は前回と同じだろう」

◆村田-ブラント第1戦VTR(18年10月20日、米ラスベガス)手数多く、多彩なパンチのブラントに対し、村田はワンツー、右の強打で応戦。5回に右ストレートを打ち込んだものの、6回以降も展開を変えることができず、空振りが目立ち、距離を縮められなかった。ブラントの手数、足を止めることができず、試合終盤には村田が疲労とダメージで動きが鈍った。12回を戦い抜いたが、0-3(110-118、109-119×2)の判定負けとなった。