ボクシングWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が「ロマチェンコ超え」を果たした。WBAスーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝(11月7日、さいたまスーパーアリーナ)に向け、27日に横浜市の所属ジムで練習。スパーリング相手として約1カ月間の日程で呼んだ米老舗誌ザ・リング選定パウンド・フォー・パウンド(階級超越の王者)1位で3団体統一ライト級王者のワシル・ロマチェンコ(31=ウクライナ)の練習パートナー、ジャフェスリー・ラミド(19=米国)からダウンを奪ったことを明かした。

20年東京五輪米国フェザー級代表候補のラミドは昨年から2度、ロマチェンコの合宿に招待されていた。通常より1分多い1回4分間設定のスパーリング方式で1日に9回を担当。計130回のうち、1度だけダウンを喫した経験がある。今回、井上は計20回ながらも24日のスパーリングの際、左ボディーでダウンを奪った。井上本人は「4回目で良いボディーが入りましたね」と淡々と振り返るが、ラミドは「ジャブが強い。ロマチェンコと井上は2人ともすごい。戦い方は違うが、2人とも王者になる理由を持っている」と実力に遜色がないことを口にした。

所属ジムの大橋秀行会長(54)は「一言だけ。尚弥はロマチェンコを超えた、とだけ言います」と1カ月間のスパーリングを総括した。来月から母国で東京五輪予選を控えるラミドはラウンドごとに戦術を変えるスキルがあり、ドネアとタイプは違うものの、WBSS決勝に備えた十分なトレーニングを積めた様子。井上は「ドネアもキャリアあるし、ラウンドごとに戦術を変える。対応力は絶対に練習になる」と手応えを口にしていた。