元WBA&IBF世界ライトフライ級王者田口良一氏(33)の引退式が、10日に東京・後楽園ホールで行われた。ワタナベジムの先輩である元世界王者内山高志氏(40)を相手にスパーリングを披露。10カウントゴングが鳴らされ、現役としてのリングに別れを告げた。

スパーは2分3回で、田口氏がKOなら300万円、内山氏なら10万円の賞金がかけられた。最終3回にはともにヘッドギアを脱いで、詰めかけた1587人の観衆を沸かせた。

内山氏は2年前に引退したが、アマジムを経営しながら、自らもトレーニングを欠かさない。田口氏もアマジム経営を目指している。現在はトレーナー修業中だが、体の絞り具合も、動きのよさも、防衛回数通り? 先輩に分があった。ロープを背にしてパンチをかわしきられ、じだんだを踏んだ。左ボディーを食うと、ロープまで後退する場面も。手が出なくなって苦笑いしたりした。

スパー後には、内山氏から大好きなラーメン1年分の目録がプレゼントされた。内山氏は「このために2日間だけ酒をやめて練習してきた。人柄を示して、こんなにお客さんが入った。第2の人生も応援してあげて」とリングから呼び掛けた。

田口氏は時折声を詰まらせて、ファンにあいさつした。「18歳で世界王者を目指して始めたが、何度も辞めようと、心が折れかけた。みなさんの応援のおかげで世界王者になれた」と頭を下げた。さらに「後輩達も応援してください」と田口氏らしいお願いで締め、グローブをつるした。