「戦うシングルマザー」こと王者吉田実代(31==EBISU K,S BOX)が初防衛に成功した。WBCアジア同級王者石麗萍(21=中国)の挑戦を受け、3-0の判定勝ち。

身長7・7センチ、リーチ6・5センチの劣勢を接近戦で埋め、クリンチされるとボディーを連打。相手の体力を消耗させた。4回には左フック、8回に右ショートでぐらつかせる快勝劇だった。愛娘実衣菜(みいな)ちゃん(4)から「ママ、おめでとう」と祝福を受けると「最低限の約束は守れたかな」と号泣した。

喜びよりも悔しい涙だった。日本初開催となる大みそか女子世界戦。自らが過去奪ったことのないダウンや、KO勝ちを狙っていたため「重圧があった」。元WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志氏の指導を受け、自衛隊体育学校に足を運び、技術あるアマ選手と拳を交えた。低酸素トレーニングや肩周囲の筋トレ、食事制限も続け、体脂肪率も10%近くまで絞り「1パーセントでも勝率を上げる」とこだわっていた。

吉田は「ふがいない。もっと良いところをみせたかった。まだ自分は甘い。レベルアップして1日でも長く防衛したい」と反省を忘れず、防衛ロードを突き進む構えだ。【藤中栄二】