5日に引退するレジェンド、獣神サンダー・ライガーが引退記念8人タッグ戦に臨んだ。90年代新日ジュニア戦線を彩った縁深いメンバーとともに激闘を繰り広げたが、後輩の田口隆祐(40)に敗れた。

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ライガーが花道に現れると満員のドームが沸いた。大スクリーンにテーマ曲「怒りの獣神」の歌詞が映され、大合唱が巻き起こった。昨年3月に引退宣言してからは、バトル、鬼神、黒など過去を振り返るようにさまざまなパターンのライガーを見せてきたが、この日は特別なことは何もしなかった。最後のドームに向けて、特別なマスクを制作することも考えたが、「いつも通り練習して、いつも通りリングにあがって、試合して。みんないつものライガー、見たいんじゃない?」。いつも通りの姿で試合に臨んだ。

8人タッグマッチで組んだのは小学校の時にプロレスラーになるきっかけとなった、憧れの藤波辰爾(65)、盟友ザ・グレート・サスケ、そして現在の女房役タイガーマスク。対するのは、ライガーとなる前に一緒に同日デビューした佐野直喜(54)、90年代新日本ジュニア戦線をともに盛り上げた大谷晋二郎(47)と高岩竜一(47)。そして後輩で現在の新日ジュニアを支える田口。

ベテランメンバーがそろったが、ライガーが「ただ単に懐かしい、という試合にはならない」と予告していた通り、全員が死力を尽くした。2カ月前から体を絞ったという佐野は場外に落ちたライガーに向かってトペ・スイシーダをさく裂。大谷はライガーに顔面ウォッシュを決め、会場を盛り上げる。ライガーも負けじと田口に掌底、雪崩式フランケンシュタイナーをお見舞いするが、最後は田口にどどんを決められ、敗れた。ライガーは「リングに上がれば、レスラーに年は関係ないよ」と参戦した選手を称えた。

5日のラストマッチは佐野と組み、この日ジュニア新王者となった高橋、リュウ・リーの現在のジュニアトップ2人と対戦する。ライガーは記者に向かって「きょうの試合見ててさ、しょうがねえな、引退もな、って思った?」と逆質問。「ないでしょ? これでいいんだよ。これがおれの目指した引退試合。もっとすげー試合を明日する」と宣言した。89年4月24日、新日本初の東京ドーム大会でデビューし平成の世とともに生きたライガーが、令和初の東京ドームで最後の試合を迎える。【高場泉穂】

▽藤波辰爾 まだ十分に戦えるし複雑な気持ちだが、久しぶりに1・4のリングに立たせてもらって感謝している。

▽タイガーマスク 新日本に誘っていただき、仲人もやってもらった。今日偉大さがあらためて分かった。魂を引き継いで、新日本プロレスを守っていきたい。

▽ザ・グレート・サスケ スーパーJカップ第1回でチャンスを頂いて26年。ライガーさんには「TDK」、ただただ感謝です。

▽大谷晋二郎 あんなに怖くて厳しくて温かい人はいない。若手にライガープロレスを伝えていきたい。同じ時代にできて本当に幸せだった。

▽佐野直喜 まだまだできそうな体だが、引退は本人が決めたこと。若い時から同期で切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲。ジーンと来た。

▽高岩竜一 最近、涙腺が弱くてすみません。こんなクソみたいなオレをレスラーにしてくれて、本当にありがとうございます。

▽田口隆祐 引退は非常にもったいないと思うが、自分があっさり勝ってしまったので引退は仕方ないかな。私はまだまだ現役を続けていく。