杉浦軍の桜庭和志(51)NOSAWA論外(43)組が、金剛の拳王(35)仁王(38)組に勝利した。

桜庭は6日の代々木大会のGHCナショナル選手権試合で対戦する。11月22日の横浜武道館大会で拳王から直々に指名を受けた。前哨戦となったこの試合。闘志むき出しの拳王に対し桜庭は「楽しんでやっているだけ」と冷静だった。序盤はムキになった相手のキックやパンチをもろに受けたが、中盤以降は得意の絞め技で応戦。最後は仁王に対し、裏三角十字固めを決め、わずか8分で勝利した。「(拳王は)やっぱり強いですよ。日本拳法でしたっけ? 僕にはそれにない打撃もありますので」と相手を分析する余裕も見せた。

一方、敗れた王者は怒りが収まらず「お前のネームバリュー、実績は1番かもしれねえ。今はおちゃらけているだけだろ。俺は怒りまくったぞ。完膚なきまでにぶちのめしてやるからな」と宣戦布告。これを聞いた桜庭は「別にふざけてない。笑っているからと言ってヘラヘラしているわけでもない」と意に介さなかった。

終始落ち着いていた桜庭だったが、試合直後に一瞬だけスイッチが入った。拳王から「桜庭和志、全盛期PRIDEで戦っていた緊張感はどこに行った? 何ふざけてんだ」と言われ、珍しく激高。「イラッときたので言ってやろうかと」とマイクを拾い上げ叫ぶも、こちらのスイッチは入っておらず、会場は失笑に包まれ、まさかの“敗戦”となった。

納得の内容でいい状態のまま、本番に向かう。序盤から相手のふくらはぎめがけて、ローキックを多用して効果を確認。「結構得意。ローキックもいろいろある。ハイに入れる振りをしてミドルに入れたり。作戦なんで(これ以上)言わないけど」と不敵な笑みを浮かべた。穏やかな表情の桜庭が、タイトルをかけたリング上で、実績が1番であることを証明し、王者を黙らせる。【松熊洋介】