無敗のWBC・IBF世界ウエルター級王者エロール・スペンスJr.(30=米国)が交通事故後初となるリングで防衛に成功した。

元WBC世界同級王者ダニー・ガルシア(32=米国)と2本のベルトを懸けて拳を交え、3-0(116-112×2、117-111)の判定勝利を飾った。IBF5度目、WBC初防衛に成功したスペンスJr.は「彼は偉大な王者で良い試合になると思った。ガルシアのようなビッグな相手と対戦したかった。ハードな試合で100%じゃないと勝てないと思った。でもベストはオレだよ」と戻ってきた2本のベルトを手に笑顔をみせた。これでスペンスJr.の通算戦績は27勝(21KO)無敗となった。

序盤から距離を詰め、ガルシアを右ジャブで制した。さらに接近し、ボディーブローもねじ込んだ。終盤に追い上げられたが、逃げ切った。「彼がベストで臨んでくれて感謝している。すごく良いカムバックだ」とスペンスJr.。負けたガルシアからも「今夜は彼の方が強かった。言い訳はしない。特にジャブが良かった」とたたえられた。

19年9月、WBC世界同級王者ショーン・ポーター(米国)との2団体統一戦で判定勝ちして以来のリングだった。同年10月、フェラーリを運転中にスピード違反しながら交通事故を起こした。愛車は大破したが、スペンス自らは奇跡的に顔の裂傷や体の打撲、歯の損傷にとどまった。事故から1年後、今だ上がっていた後遺症を懸念する声をシャットアウトする快勝劇だった。

WBA同級王者マニー・パッキャオ(フィリピン)やWBO同級王者テレンス・クロフォード(米国)との統一戦を期待する声が上がっている。次戦について問われたスペンスJr.は「ゆっくりしますよ。家族やペットとたわむれて。時期がきたら、また試合が組まれると思う」と余裕の笑みを浮かべていた。