総合格闘技(MMA)のRIZIN26が31日、さいたまスーパーアリーナで行われる。第7試合では、格闘家デビューとなる16年リオデジャネイロ五輪レスリング銀メダリストの太田忍(27=フリー)が、3年半ぶりのRIZIN参戦となる所英男(43=リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)と対戦する。

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太田は昨年の全日本選手権で初戦敗退し、東京五輪への道が断たれたことで、興味のあったMMA参戦を表明。指導を受けながら、寝技や打撃を強化してきた。「レスリングのプライドはない」と挑戦者の気持ちを見せながらも「勝てれば、判定でもいい」と勝負にこだわる。日本の頂点を極めたレスラー。格闘家としての魂はすでに宿っている。

太田 負けん気は強い方なので、殴られて怖いとか痛いとかはない。殴られると闘争心が湧く。

もちろん、得意のレスリングを駆使し、有利な展開に持ち込む。格闘技では右構えとなるが「もともと右利きなのでタックルとかも大丈夫。レスリング全体の強さを生かした攻撃ができれば。自分ではうまい方だと思っている」と自信をのぞかせる。

久しぶりの出場となる所は、今月2日の会見で「僕で良いんですか、というくらい(相手が)すごい方でびっくり。勝つのは難しいかもしれない。僕との試合で格闘技の流れなど感じ取ってもらえたら」と控えめだ。PRIDEで活躍し、現在はプロレス団体ノアで戦う桜庭和志と毎週一緒に練習し、寝技の極意を学んでいるという。「詳しくは言えないけど、試合で使えるものがたくさんある。理想はバックを取ってチョーク」と対策は十分だ。

デビュー当時は「闘うフリーター」の愛称で活躍。RIZINに出場していなかったここ数年は、QUINTETなどの寝技格闘技に参戦していた。「控室もみんな同じ部屋だったりで初心に戻れた。そういうのも生きてくると思う」と雑草魂が再燃。「レスリングの銀メダリストだけど、MMAはデビュー戦なので」。43歳でも不屈の闘志でリングに立ち続ける。

所 僕とか(44歳の)ミノワマンさんとかが頑張ったら、ちょっとは元気が出るんじゃないかと期待してます。自分が戦っているのを見て、喜んでもらいたい。

デビュー戦と3年半ぶりの出場。立場、思いは違えど、勝利への執念だけはお互いに譲らない。【松熊洋介】